この記事でわかること
- 遺産分割の話し合い(協議)がまとまらないとき、次に取れる手段の全体像
- 家庭裁判所に申し立てる「遺産分割調停」の流れ・費用・必要書類
- 調停が不成立になったとき、自動的に移る「審判」で何が決まるのか
- 分けにくい不動産が「換価分割(売却してお金で分ける)」になるケース
- 家族でもめず、長引かせないために早めにできること
遺産分割がまとまらないときは、家庭裁判所へ「遺産分割調停」を申し立て、それでも決まらなければ「審判」で裁判官が分け方を決めます。分けにくい不動産は売却(換価分割)になることもあります。
先月、ご相談者様(60代の女性)から、こんなお話をいただきました。「亡くなった母の家を、姉は『住み続けたい』、私は『売って分けたい』と言って、半年も話が進まないんです」。ご兄弟仲は決して悪くなかったのに、家という”分けにくい財産”が間に入っただけで、お互い一歩も引けなくなっていました。私が業界24年で見てきた限り、もめるご家族の多くは「仲が悪い」のではなく、「分け方の正解が見えない」だけなのです。この記事では、そんなときの進め方を、はじめての方にもわかるよう順を追ってご説明します。
遺産分割の話し合い(協議)がまとまらないとどうなる?
相続が起きると、まず相続人全員で「誰が何を相続するか」を話し合います。これを遺産分割協議といい、民法でも認められた基本のやり方です(民法907条)。全員が合意すれば「遺産分割協議書」を作って完了します。
しかし、次のような場合は話し合いだけでは決まりません。
- 不動産を「残したい人」と「売りたい人」で意見が割れている
- 一部の相続人が話し合いに応じてくれない、連絡がつかない
- 「誰がどれだけ貢献したか」「生前にいくらもらったか」で不公平感がある
こうしたとき、感情的な対立が深まる前に使えるのが、家庭裁判所の手続きです。いきなり裁判(訴訟)ではなく、まずは「話し合いを手伝ってもらう」調停から始めるのが一般的です(2026年5月現在)。
Q: 話し合いがこじれたら、すぐ裁判になるのですか? A: いいえ。遺産分割は原則として、まず調停(話し合いの手伝い)から始めます。いきなり判決で白黒つける手続きではありません。
家庭裁判所の「遺産分割調停」とは?流れと費用
遺産分割調停とは、家庭裁判所で、中立な立場の人を間に入れて話し合う手続きです。当事者同士が直接言い合うのではなく、調停委員会(裁判官1名と、民間から選ばれた調停委員が原則2名以上)が双方の言い分を別々に聞き、解決の橋渡しをしてくれます。
調停の進み方(手順)
- 申し立て:相続人の1人が、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所などへ申し立てます
- 第1回期日の通知:申立て後、1〜2か月ほどで最初の話し合い日が決まります
- 話し合い(数回):おおむね月1回ペースで、双方が交互に部屋へ呼ばれて意見を伝えます
- 合意(成立):折り合いがつけば調停調書が作られます
調停調書は、確定した判決と同じ強い効力を持ちます。つまり、約束が守られないときは、この調書をもとに財産の名義変更や強制執行ができます。
費用の目安
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 申立て手数料(収入印紙) | 被相続人1人につき1,200円 |
| 連絡用の郵便切手 | 裁判所により異なる(数百〜数千円程度) |
| 戸籍・不動産関係の書類取得費 | 数千円〜 |
弁護士に依頼する場合は別途費用がかかりますが、ご自身だけで申し立てることも可能です。正確な金額や必要書類は、申立先の家庭裁判所で必ずご確認ください(2026年5月現在)。
調停が不成立なら「審判」へ|裁判官が分割を決める
調停はあくまで話し合いです。どうしても折り合わない場合、調停は「不成立」で終了します。このとき、手続きは終わりではなく、自動的に「審判」へ移行します。
審判では、調停と違って裁判官が当事者の主張や証拠を踏まえ、法律にもとづいて分け方を決定します。話し合いで決まらなかった結論を、裁判所が代わりに出してくれる手続きだとイメージしてください。
審判で決まった内容には強い効力があり、納得できない場合は一定期間内に即時抗告(上級裁判所への不服申立て)ができます。
Q: 審判になると、自分の希望はまったく通らないのですか? A: そうではありません。審判でも各相続人の事情や法定相続分が考慮されます。ただし「全員が満足する」結論になるとは限らないため、できれば調停の段階で歩み寄れるのが理想です。
分けにくい不動産はどうなる?換価分割という選択肢
相続でいちばんもめやすいのが、実家などの不動産です。お金のように1円単位できれいに分けられず、住みたい人・売りたい人で利害がぶつかるからです。
不動産の分け方には、主に次の3つがあります。
- 現物分割:土地などをそのまま現物で分ける
- 代償分割:1人が不動産を取得し、他の相続人へお金(代償金)を支払う
- 換価分割:不動産を売却し、得られた現金を相続分に応じて分ける
審判になった場合、現物では公平に分けられず、代償金を払える人もいないと判断されると、換価分割(売却。場合によっては競売)が命じられることがあります。競売は市場価格より安くなりやすいため、その前に相続人どうしで合意して通常の売却をするほうが、手取りが増えるケースが多いというのが現場での実感です。
実は「売って現金で分ける」という換価分割は、もめている家族にとっていちばん公平で角が立たない解決策になることがあります。誰か1人が得をするわけではなく、全員が同じ基準でお金を受け取れるからです。私たちROCKEDGEでは、こうしたケースで物件の査定から売却、提携する税理士・司法書士との連携まで、どの相続人にも偏らない中立的な立場でワンストップでお手伝いしています。「売る・売らない」を急がせることはありません。まずは「いくらで売れそうか」という事実を知るだけでも、家族の話し合いはぐっと前に進みます。
もめない・長引かせないための進め方
24年間、数多くの相続のご相談を受けてきて確信しているのは、**「早く・中立の専門家を入れた家族ほど、もめずに早く解決する」**ということです。長引くと、その間も固定資産税や管理費はかかり続け、関係も冷えていきます。
もめないための具体的なコツは次のとおりです。
- 感情と事実を分ける:「悲しい」「不公平だ」という気持ちと、「この家はいくらか」という事実を切り分けて話す
- 早めに第三者を入れる:身内だけだと感情がぶつかります。中立の専門家が間に入るだけで冷静になれます
- 「全員が少しずつ譲る」を前提にする:誰か1人の100点を目指すと必ずこじれます
- 数字を共有する:査定額・税額・諸費用を全員が同じ資料で見ると、話が早く進みます
「言い出しにくい」「自分だけが悪者になりそう」という気持ちは、とても自然なものです。だからこそ、中立役を早めに入れることが、結果的に家族を守ることにつながります。
よくある不安と専門家に相談するタイミング
「裁判所なんて大げさでは」「弁護士に頼むとお金がかかりそう」——そう感じる方は多いです。ですが、調停はご自身でも申し立てられますし、こじれてからより、まだ全員が話せるうちに相談したほうが、時間もお金も結果的に少なく済みます。
次のようなサインがあれば、専門家への相談を検討するタイミングです。
- 話し合いが3か月以上、前に進んでいない
- 一部の相続人と連絡が取れない、または感情的になって話せない
- 不動産の評価額で意見が大きく食い違っている
なお、家庭裁判所の手続きの詳細や、各家庭の事情に応じた最適な分け方は、個別の事情によって異なります。一般論をうのみにせず、弁護士・税理士・司法書士・不動産の専門家など、信頼できる専門家へご相談ください。
相続のお悩みはROCKEDGEの無料相談へ
ROCKEDGEでは相続に関するご相談を承っています。「何から手をつければいいか分からない」という段階からお気軽にご連絡ください。業界24年の経験で、あなたの状況に合った選択肢を中立的な立場でご提案します。
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