この記事でわかること
- 相続した不動産には3種類の税金(登録免許税・相続税・譲渡所得税)がかかること
- それぞれ「いつ・誰に・いくら」払うのかを表で丸わかりに整理
- 売って利益が出ても、特例を使えば税金を大きく減らせること
- 名義変更(相続登記)は2024年4月から義務になり、放置すると過料の対象になること
- もめずに公平に分けるには「売却して現金で分ける」方法が有力なこと
相続した不動産にかかる税金は、名義変更時の「登録免許税(固定資産税評価額×0.4%)」、財産全体にかかる「相続税」、売って利益が出たときの「譲渡所得税」の3つに整理できます。それぞれ払うタイミングも相手も違うので、順番に理解すれば怖くありません。
先月、ご相談者様から「親の家を相続したけれど、税金が3つも4つもあると聞いて、何をいくら払えばいいのか全く分からず夜も眠れない」というご相談を受けました。お話を伺うと、3つの税金がごちゃ混ぜになって「途方もない金額を取られる」と思い込んでいらっしゃったのです。実際に一つずつ分けて説明すると、「こんなに整理できるなら早く相談すればよかった」とホッとされていました。この記事では、当時その方にお話しした内容を、はじめて相続をする方にもわかるようにまとめます。
相続した不動産にかかる税金は3つだけ|「いつ・誰に・いくら」早見表
まず全体像をつかみましょう。むずかしく考えず、「3つしかない」と覚えてください。
| 税金の名前 | いつ払う? | 誰に払う? | いくら?(目安) |
|---|---|---|---|
| 登録免許税 | 名義変更(相続登記)するとき | 国(法務局で納付) | 固定資産税評価額 × 0.4% |
| 相続税 | 亡くなったことを知った日の翌日から 10か月以内 | 国(税務署) | 基礎控除を超えた分にだけ課税 |
| 譲渡所得税 | 相続した不動産を売って利益が出た年の翌年に確定申告 | 国・自治体 | 利益(譲渡所得)× 約20%(長期の場合) |
ポイントは、「持っているだけ」では登録免許税と相続税、「売って初めて」譲渡所得税という流れです。売らなければ譲渡所得税はかかりません。順番に見ていきましょう。
① 登録免許税|名義を変えるときの税金(評価額×0.4%)
「登録免許税(とうろくめんきょぜい)」とは、不動産の名義を亡くなった方からあなたへ変更(相続登記)するときに、国に納める税金です。
- 税率は固定資産税評価額の0.4%(不動産登記の税率/1000分の4)
- 固定資産税評価額は、毎年春に届く「固定資産税の納税通知書」や、市区町村で取れる「評価証明書」で確認できます
- 例:評価額1,000万円の家なら、1,000万円 × 0.4% = 4万円
ここで大切なのが、2024年4月1日から相続登記が義務になったことです(不動産登記法の改正)。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に登記しないと、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象になります。「親の家の名義をずっとそのままにしている」という方は、早めの手続きをおすすめします。
Q: 名義変更は自分でできますか? A: ご自身でも可能ですが、戸籍集めや書類作成に手間がかかります。相続人が多い・遠方にいるといったケースでは、司法書士に依頼すると安心です。
② 相続税|財産全体にかかる税金(基礎控除を超えた分だけ)
「相続税」は、不動産だけでなく預貯金・株式なども含めた財産全体にかかる税金です。ただし、すべての人にかかるわけではありません。
基礎控除(ここまでは無税という枠)= 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)
たとえば、相続人が配偶者と子ども2人の合計3人なら、 3,000万円 +(600万円 × 3人)=4,800万円までは相続税がかかりません。財産の合計がこの枠の中におさまれば、相続税の申告も納税も不要です。
- 申告と納税の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内
- 不動産は時価ではなく「相続税評価額」で計算します(土地は路線価など、家屋は固定資産税評価額が基準)
- 「小規模宅地等の特例」を使うと、自宅の土地の評価額を最大80%減らせる場合があります
期限を過ぎると加算税や延滞税がかかることがあるため、財産が基礎控除を超えそうなときは、早めに税理士へ相談しておくと安心です。
③ 譲渡所得税|売って利益が出たときの税金(長期なら約20%)
相続した不動産を売却して利益(譲渡所得)が出たときにかかるのが「譲渡所得税」です。逆に言えば、売らなければかかりませんし、利益が出なければかかりません。
譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)
- 取得費:その不動産を買ったときの金額(亡くなった方が買ったときの金額を引き継ぎます)
- 譲渡費用:仲介手数料や測量費など、売るためにかかった費用
税率は所有期間で変わります。ここが恐れられがちですが、相続では有利になりやすいので安心してください。
| 区分 | 所有期間 | 税率(所得税+住民税+復興特別所得税) |
|---|---|---|
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 約20.315% |
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 約39.63% |
相続の場合、亡くなった方が持っていた期間(取得の時期)をそのまま引き継げます(所得税法60条)。親が何十年も住んでいた家なら、相続して翌日に売っても「長期譲渡(約20%)」になりやすいのです。「相続したばかりだから短期で高い税率」ではない点は、ぜひ知っておいてください。
売却益を減らせる2つの特例
利益が出ても、次の特例で税金を大きく減らせる場合があります。
- 取得費加算の特例:相続税を納めた人が、相続税の申告期限の翌日から3年以内に売却すると、納めた相続税の一部を取得費に加算でき、利益を圧縮できます(タックスアンサー No.3267)。
- 空き家の3,000万円特別控除:一定の要件を満たす相続した空き家を売ると、利益から最大3,000万円を差し引けます(タックスアンサー No.3306)。対象は原則昭和56年5月31日以前に建てられた家屋などで、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却が条件です。
これらの特例は要件が細かいため、「使えるかどうか」を売却前に確認することが、税金を払いすぎないコツです(2026年5月現在の制度に基づきます)。
「分けにくい不動産」をもめずに分けるには|換価分割という選択肢
相続のトラブルで多いのが、不動産が原因のもめ事です。現金なら1円単位で公平に分けられますが、家や土地は分けにくく・すぐ現金化できないため、「誰が住むのか」「代わりにいくら払うのか」で感情的な対立が起きやすいのです。
このとき有力なのが、換価分割(かんかぶんかつ)という方法です。これは不動産を売却して現金にしてから、相続人で公平に分けるやり方です。
- 1円単位で公平に分けられるので、不公平感が生まれにくい
- 「言い出しにくい」「実家を手放すなんて」という感情面の負担も、第三者が中立役として入ることで和らぎます
もめないための最大のコツは、早い段階で中立的な専門家に入ってもらうことです。私たちROCKEDGEでは、不動産の査定から売却、提携する税理士・司法書士との連携まで、特定の相続人に肩入れしない中立の立場でワンストップでお手伝いしています。「売るべきか残すべきか」の段階からご相談いただけますので、迷ったらお気軽にお声がけください。
なお、ここで紹介した税額や特例は一般的な目安です。個別の事情により取り扱いが異なるため、実際の判断は税理士・司法書士などの専門家にご相談ください。
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