この記事でわかること
- 「法定相続分」とは何か、なぜ知っておくと安心なのかが、はじめての方でもわかります
- 「配偶者と子」「配偶者と親」「配偶者と兄弟姉妹」など、家族構成パターン別の早見表で、だれがいくら相続するかが一目でわかります
- 法定相続分はあくまで“目安”で、家族全員が納得すれば自由な割合で分けてよいことがわかります
- 子が先に亡くなっているときに孫が引き継ぐ「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」のしくみがわかります
- 不動産が「分けにくい」ときに、もめずに公平に分けるための次の一歩がわかります
法定相続分とは?まず結論から
法定相続分(ほうていそうぞくぶん)とは、民法が定めた「だれがどれだけ相続するか」の目安の割合のことです。配偶者がいるかどうか、子・親・兄弟姉妹のうち誰が残っているかで割合が変わります。ただしこれは目安であり、家族全員が合意すれば違う分け方にしてもかまいません。
少しかみくだくと、「法律が用意してくれた“とりあえずの分け方の見本”」だと考えてください。話し合いがまとまらないときや、目安が知りたいときの出発点になります。
先月、ご相談者様から実際にこんなご相談を受けました。お父様を亡くされた40代の女性で、「兄が『長男だから家は全部おれのものだ』と言っている。私には何ももらえないの?」という内容でした。結論からお伝えすると、お母様(配偶者)と、ご相談者様・お兄様(子2人)が相続人で、法律上の目安は母1/2、子は残り1/2を2人で分けて各1/4ずつ。「長男だから全部」という決まりは法律にはありません。この事実をお伝えしただけで、表情がふっと和らいだのが印象に残っています。知っているだけで、不要な不公平感やいさかいを防げるのです。
だれが相続人になる?順位のルール
法定相続分を知るには、まず「だれが相続人か」を押さえる必要があります。配偶者(夫・妻)は必ず相続人になり、それ以外は次の順番(順位)で決まります。上の順位の人がいれば、下の順位の人は相続人になりません。
| 順位 | 相続人 | 説明 |
|---|---|---|
| 常に相続人 | 配偶者 | 法律上の夫・妻。内縁(入籍していない)は含まない |
| 第1順位 | 子 | 実子・養子・認知された子。亡くなっていれば孫へ(代襲相続) |
| 第2順位 | 直系尊属(親) | 子がいないとき。父母、いなければ祖父母 |
| 第3順位 | 兄弟姉妹 | 子も親もいないとき |
つまり、子がいれば親や兄弟姉妹は相続人になりません。子も親もいない場合に、はじめて兄弟姉妹に出番が回ってきます。
家族構成パターン別・法定相続分の早見表
ここが本記事の核心です。条文(民法900条)に基づく目安を、パターン別にまとめました。「うちはどれ?」という目線で見てください。
| 家族構成 | 配偶者 | 他の相続人 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 配偶者+子 | 1/2 | 子全員で 1/2(人数で等分) | 民法900条1号 |
| 配偶者+親 | 2/3 | 親全員で 1/3 | 民法900条2号 |
| 配偶者+兄弟姉妹 | 3/4 | 兄弟姉妹全員で 1/4 | 民法900条3号 |
| 配偶者のみ | 全部 | — | — |
| 子のみ(配偶者なし) | — | 子全員で 全部(等分) | — |
具体例で計算してみましょう
- 例1:夫が死亡、妻と子ども3人 妻 1/2。子は残り1/2を3人で分け、各 1/6 ずつ。
- 例2:夫が死亡、妻と夫の父母(子なし) 妻 2/3。父母は残り1/3を2人で分け、各 1/6 ずつ。
- 例3:夫が死亡、妻と夫の兄2人(子・親なし) 妻 3/4。兄2人は残り1/4を分け、各 1/8 ずつ。
「半分は配偶者、残りを同順位の人数で割る」と覚えると、ほとんどのケースに対応できます。
子が先に亡くなっていたら?代襲相続のしくみ
代襲相続(だいしゅうそうぞく)とは、本来相続するはずだった子が親より先に亡くなっている場合に、その子(つまり故人の孫)が代わりに相続するしくみです。
たとえば、祖父が亡くなり、長男がすでに他界していて長男に子(孫)が2人いるとします。この場合、長男がもらうはずだった分を、孫2人が引き継いで分けます。長男の取り分が1/4だったなら、孫は各1/8ずつです。
兄弟姉妹が相続人のケースでも代襲は起こりますが、その場合は甥・姪までで止まり、その先には引き継がれません(子の系統は孫・ひ孫…と続くのとは異なります)。「うちは亡くなった人がいて複雑」という場合こそ、早めに整理しておくと安心です。
法定相続分は“目安”——もめないための一番のコツ
ここで一番お伝えしたいことがあります。法定相続分は「必ずこの割合で分けなさい」というルールではありません。 相続人全員が話し合い(これを「遺産分割協議」といいます)で合意すれば、たとえば「自宅は同居していた母に、預金は子で分ける」といった、割合にとらわれない自由な分け方ができます。
「同居して介護してくれた子に多めに」「家業を継ぐ子に事業用資産を」——こうした事情に応じた配分も、全員が納得すれば可能です。法定相続分は、話し合いの“出発点”や“まとまらないときの基準”と捉えてください。
もめないための最大のコツは、早い段階で中立の専門家に間に入ってもらうことだと、24年の実務でつくづく感じます。家族だけだと「言い出しにくい」「不公平だと感じても口に出せない」という感情が積もり、こじれてしまいがちです。第三者が事実と選択肢を整理するだけで、驚くほど冷静に話が進みます。
不動産は「分けにくい」——換価分割という選択肢
相続でもっとも争いの火種になりやすいのが不動産です。現金は1円単位で公平に分けられますが、家や土地は物理的に切り分けられず、現金化もすぐにはできないからです。一人が住み続ければ他の相続人に不公平感が残り、共有名義にすれば将来の売却や建て替えで全員の同意が必要になり、身動きが取りにくくなります。
そこで有力なのが換価分割(かんかぶんかつ)=不動産を売却して、得たお金を相続分に応じて分ける方法です。全員が現金で受け取れるため、もっとも公平で後腐れが少ない解決策のひとつです。
私たちROCKEDGEでは、相続不動産の査定から売却、提携する税理士・司法書士との連携まで、中立的な立場でワンストップに伴走しています。「いくらで売れそうか」を知るだけでも話し合いの材料になりますので、方針が固まる前の段階でも遠慮なくご相談ください。売り急ぎをおすすめすることはありません。
なお、ここで示した割合や手続きは一般的な目安です。相続は家族構成・遺言の有無・財産の内容によって結論が大きく変わります。個別の事情により異なるため、詳細は専門家へご相談ください。
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