土地の境界が決まらず売れないときは、法務局の筆界特定制度という選択肢があります
「隣との境界がはっきりしないので、売却の話が止まってしまった」——相続した土地や、長く住んだ実家を手放すときに、こうした場面は珍しくありません。境界の話し合いがまとまらないとき、裁判の前に法務局へ申請できる手続きとして「筆界特定制度」があります。東京法務局の標準処理期間は9か月とされており、時間の見通しを立てたうえで動くことが大切です。
何が変わったのか
筆界特定制度は、土地の所有者として登記されている人や、その相続人などが申請できる手続きです。申請を受けると、法務局の筆界特定登記官が、登記上の筆界(土地の境目として登記されている線)がどこにあるのかを明らかにします。共有地の場合でも、登記名義人のうち一人から単独で申請することができます。手数料は、固定資産課税台帳に登録された価格をもとに算定されます。なお、特定された結果に納得できないときは、あらためて裁判で争うこともできる仕組みになっています。
首都圏の住まいへの影響
東京・埼玉・神奈川・千葉では、隣家との距離が近く、古くからの住宅地では境界の記録があいまいなまま代替わりしているケースがあります。売却や解体、建て替えの話が進む段階になって、はじめて境界の問題が表に出てくることも少なくありません。共有名義になった相続不動産でも、登記名義人の一人から単独で申請できる点は、相続人同士の連絡が取りづらい場合に知っておく価値があります。ただし東京法務局の標準処理期間は9か月とされているため、売却の時期が決まっている場合は、逆算して早めに動くことが現実的です。
いつ・何を確認すればいいか
- 登記簿上の名義人が誰になっているかを確認する(相続後の名義変更が済んでいるかどうかで、申請の準備が変わります)
- 固定資産課税台帳に登録された価格を確認する(手数料はこの価格をもとに算定されます)
- 売却や建て替えの予定時期から逆算する(東京法務局の標準処理期間は9か月とされています)
- 申請の要件・必要書類・手数料の詳しい算定方法は、一次ソース(東京法務局の案内)や、土地家屋調査士・司法書士などの専門家にご確認ください
よくある質問
Q. 共有名義の土地ですが、他の共有者と連絡が取れません。申請できますか。 A. 筆界特定制度では、共有地であっても登記名義人の一人から単独で申請できるとされています。ただし個別の事情によって必要な手続きは変わりますので、具体的な進め方は一次ソースや土地家屋調査士・司法書士などの専門家にご確認ください。
Q. どのくらいの期間がかかりますか。 A. 東京法務局では標準処理期間が9か月とされています。あくまで標準的な目安ですので、実際にかかる期間は事案によって異なります。最新の状況は一次ソースでご確認ください。
Q. 特定された結果に納得できない場合はどうなりますか。 A. 筆界特定の結果に納得できない場合は、裁判で争うこともできる仕組みになっています。裁判での対応については弁護士へご相談ください。
出典: 東京法務局 筆界特定制度に関するよくある質問(https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/static/hikkai-qanda.html)
本記事は制度の概要をやさしくお伝えするものです。相続や名義に関する手続きは司法書士・弁護士へ、税金に関することは税理士へ、境界の測量に関することは土地家屋調査士へご相談ください。