相続税は現金で納めるのが原則。それが難しいときに、不動産などで納める「物納」という方法があります
相続で不動産を受け継いだものの、手元の現金が足りず相続税を払いきれない——首都圏では土地や建物の評価額が大きくなりやすく、この心配を抱える方は少なくありません。国税庁は、一定の要件を満たす場合に、相続した財産そのもので納める「物納」を認めています。この記事では、国税庁のタックスアンサー No.4214 に書かれている範囲で、物納のしくみと気をつけたい点を整理します。
何が変わったのか
物納は新しくできた制度ではなく、相続税の納め方として以前から用意されているものです。まず前提として、相続税は金銭で納めるのが原則です。その上で、分割して納める「延納」によっても金銭で納めることが難しい事由がある場合に、申請することで、相続した財産そのもので納めることが認められます。つまり物納は、いきなり選べる方法ではなく、現金で納める・延納で納める、という順に検討したあとの選択肢という位置づけです。また、物納に充てられる財産には順位が決められており、不動産や上場株式などは第1順位とされています。
首都圏の住まいへの影響
東京・埼玉・神奈川・千葉で実家や土地を相続した方にとって、相続財産の大半が不動産で、現金はわずかというケースは珍しくありません。売って現金をつくるにも、買い手がすぐ見つかるとはかぎらず、納税の時期に間に合わないこともあります。不動産が第1順位の財産とされている点は、こうした「資産はあるのに現金がない」状況に対する選択肢として意味を持ちます。ただし物納は申請して認められて初めて使えるものですから、はじめから当てにして動くのではなく、売却して納税する道と並べて比べておくことが大切です。どちらが自分の状況に合うかは、財産の中身や金額によって変わります。
いつ・何を確認すればいいか
- 納期限を最初に確認する。 物納申請書と手続関係書類は、納期限までに提出する必要があります。書類をそろえる時間を見込んで、早めに動き出してください。
- 現金・延納で納められないかを先に検討する。 物納が認められるのは、延納によっても金銭で納めることが困難な事由がある場合です。
- 物納した場合にいくらとして扱われるかを把握する。 収納価額は、原則として相続税の課税価格の基礎となった価額です。売却した場合の手取りと比べる材料になります。
- 税務は税理士に相談する。 要件にあてはまるか、必要書類は何かといった判断は個別性が高い分野です。相続した不動産の名義変更(登記)については司法書士や弁護士へご相談ください。最新の要件や期限は、国税庁のNo.4214 相続税の物納でご確認ください。
よくある質問
Q1. 現金が足りなければ、すぐに物納を選べますか。 いいえ。相続税は金銭で納めるのが原則です。物納が認められるのは、延納によっても金銭で納めることが困難な事由がある場合で、申請が必要です。ご自身がその事由にあてはまるかどうかの判断は、税理士にご確認ください。
Q2. どんな財産でも物納に使えますか。 物納に充てられる財産には順位があります。不動産や上場株式などは第1順位とされています。個別の財産が実際に物納の対象になるかどうかは、一次ソースや税理士にご確認ください。
Q3. 物納した不動産は、いくらとして扱われますか。 収納価額は、原則として相続税の課税価格の基礎となった価額です。実際に売ったときの価格とは考え方が異なりますので、売却して現金で納める場合と比べる際は、この違いを踏まえて検討してください。