障害のある相続人は、相続税額から直接「1年あたり10万円」を引ける制度があります
相続税には、障害のある相続人の負担を軽くするための「障害者控除」があります。これは税率をかける前の財産額を減らすのではなく、計算し終えた相続税額から直接差し引くしくみです。ご家族に障害のある方がいて、東京・埼玉・神奈川・千葉の実家や土地を相続する予定がある方は、知っているかどうかで納める税額が変わる可能性があります。
何が変わったのか
この控除を受けられるのは、次の3つをすべて満たす方です。①相続や遺贈で財産を取得したときに日本国内に住所があること、②障害者であること、③法定相続人であること。
控除される金額は、満85歳になるまでの年数1年につき、一般障害者は10万円、特別障害者は20万円です。たとえば残りの年数が20年あれば、一般障害者で200万円、特別障害者で400万円という計算になります。
1年に満たない期間が出たときは、切り捨てずに切り上げて1年として数えます。
そして、控除額のほうが相続税額より大きくて引ききれなかった場合、その余った分は扶養義務者の相続税額から差し引くことができます。ご本人の税額だけで終わらせず、家族全体で使い切れる設計になっている点が、この制度の特徴です。
首都圏の住まいへの影響
東京・埼玉・神奈川・千葉では、相続財産に占める不動産の割合が大きくなりがちです。実家の土地と建物が財産の中心という方は多く、現金が少ないために納税資金で悩むケースも見られます。
この障害者控除は税額から直接引かれるため、納税のために不動産を急いで売る必要があるかどうか、その判断に直接影響します。残りの年数が長い若い相続人ほど控除額は大きくなり、特別障害者であれば1年あたり20万円で積み上がります。
また、引ききれない分を扶養義務者の税額から差し引けるということは、誰がどの財産を相続するかという遺産分割の決め方次第で、家族全体の負担感が変わりうるということでもあります。不動産を「誰が引き継ぐか」を考えるときには、この控除の存在も一緒に机に乗せておくのが現実的です。
ただし、具体的にいくら控除されるか、ご自身のケースが要件を満たすかの判断は、税理士にご確認ください。
いつ・何を確認すればいいか
- 3つの要件に当てはまるか確認する — 相続時に日本国内に住所があるか、障害者に該当するか、法定相続人か。この3点がそろっているかをまず確かめてください
- 一般障害者か特別障害者かを確認する — 1年あたり10万円と20万円では、控除額が倍違います。区分の判定は専門家にご確認ください
- 満85歳までの年数を数えてみる — おおよその控除額の目安がつかめます。1年未満の端数は切り上げです
- 申告期限や手続きは一次ソースで確認する — 本記事は国税庁 No.4167 の内容にもとづいています。最新の取扱いは国税庁 No.4167および税理士にご確認ください
よくある質問
Q. 障害者控除は、財産の額から引くのですか?
いいえ。計算し終えた相続税額から直接差し引くしくみです。そのため、同じ金額でも負担を軽くする効果は大きくなります。
Q. 控除額が相続税額より大きくて、引ききれないときはどうなりますか?
引ききれなかった分は、扶養義務者の相続税額から差し引くことができます。ご本人の分で使い切れずに消えてしまうわけではありません。
Q. 法定相続人ではなく、遺言で財産をもらう場合も対象になりますか?
この控除の要件には「法定相続人であること」が含まれています。遺贈で財産を取得した場合でも、法定相続人かどうかが分かれ目になりますので、ご自身の立場がどちらにあたるかは税理士にご確認ください。