幅4メートル未満の道に接する実家は、セットバック部分の相続税評価を下げられる場合があります

実家を相続することになったとき、気になるのが相続税の評価額です。もし家の前の道の幅が4メートルに届いていないなら、国税庁の定めによって、将来下がらせる(後退させる)必要がある部分の評価を低くできる場合があります。首都圏で親の家を受け継ぐ立場の方は、まず「前の道の幅」を確かめるところから始められます。

何が変わったのか

建築基準法では、道路の中心線から左右に2メートルずつ後がった線が道路の境界線とみなされます。そのため、幅が4メートルに足りない道に接している家は、建て替えるときにその線まで敷地を後退させることになります。この後退させる部分は「セットバックすべき部分」と呼ばれ、自由に建物を建てられない土地です。

国税庁は、このセットバックすべき部分について、通常どおり評価した価額から70パーセント相当額を控除して評価すると定めています(財産評価基本通達24-6)。つまり、その部分の評価額は、通常の評価額から7割が引かれた残りの金額になります。幅4メートル未満の道に接する住宅は、相続税評価を下げられる場合があるということです。

なお、控除の対象になるのは敷地のうち「セットバックすべき部分」です。敷地全体の評価が一律に下がるという話ではありません。

首都圏の住まいへの影響

東京・埼玉・神奈川・千葉のいずれであっても、判断の入口は同じです。接している道の幅が4メートルに届いているかどうかです。届いていなければ、道の中心線から2メートルの線まで敷地を後退させることになり、その部分がこの控除の対象になりえます。

実家を相続する立場の方にとって、これは「知っていれば使えたかもしれない」種類の定めです。前の道が細いことを不利な条件としか見ていないと、評価を見直せる余地に気づかないまま進んでしまうことがあります。

ただし、自分の土地のどこまでがセットバックすべき部分にあたるのか、面積をどう計算するのかは、土地の形や道の状況によって変わる個別の判断です。ここは思い込みで決めず、必ず裏づけを取ってください。相続税の申告や評価額の計算は税理士、土地の境界や登記にかかわることは司法書士・弁護士といった、それぞれの専門家の領域です。

いつ・何を確認すればいいか

  • 前の道の幅を確かめる。 4メートルに届いていなければ、この定めが関係してくる可能性があります。道が建築基準法上どう扱われているかは、物件のある市区町村の建築担当窓口で確認できます。
  • セットバックすべき部分の範囲と面積を、税理士に確認する。 自己判断で控除を当てはめず、申告の前に相談してください。
  • 国税庁の一次情報を自分の目で見る。 タックスアンサー No.4604「路線価方式による宅地の評価」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4604_qa.htm )に、この取り扱いが示されています。
  • 申告の期限や手続きは、一次ソースと税理士で確認する。 この記事は期限にはふれていません。最新の期限や必要書類は、必ず国税庁の情報や税理士にご確認ください。

よくある質問

Q1. 敷地全体の評価が70パーセント引きになるのですか。

いいえ。70パーセント相当額を控除して評価するのは、「セットバックすべき部分」です。敷地全体ではありません。その部分が敷地のどこまでを占めるかによって、全体の評価額への影響の大きさも変わります。範囲の判定は個別の判断になるため、税理士にご確認ください。

Q2. どういう家が対象になりますか。

幅4メートル未満の道に接している住宅です。建築基準法では道路の中心線から左右に2メートルずつ後退した線が道路境界線とみなされるため、幅が4メートルに足りない道に接していると、建て替え時にその線まで敷地を後退させることになります。その後退部分が控除の対象です。ご自身の土地が実際にあてはまるかどうかは、道の扱いを市区町村の建築担当窓口で確認したうえで、税理士に相談してください。

Q3. この取り扱いは、どこに書かれているものですか。

国税庁の財産評価基本通達24-6です。内容は国税庁のタックスアンサー No.4604「路線価方式による宅地の評価」で確認できます。制度の運用や細かい条件は時期によって変わることがあります。断定した説明をうのみにせず、最新の状況は一次ソースや税理士にご確認ください。