実家の前の道が私道なら、相続税の評価は30%。通り抜け道路なら評価しません

東京23区のような古くからの住宅地では、家の前の道が市区町村の道路ではなく「私道」で、その道の持分(もちぶん)も一緒に相続する例が少なくありません。この持分は登記簿の上では別の土地として扱われるため、相続の手続きで見落とされやすい部分です。国税庁は私道として使われている宅地の評価方法を示していて、扱いによって評価額が大きく変わります。

何が変わったのか

国税庁 No.4622「私道の評価」では、私道として使われている宅地は、私道でないものとして路線価方式または倍率方式で評価した価額の30%相当額で評価するとされています。つまり、ふつうの宅地として計算した金額をそのまま使うのではなく、その3割の水準で見るということです。

さらに、公共の用に供する(おおやけのために使われている)道路で、不特定多数の人が通行する「通り抜け道路」にあたるものは、その価額を評価しません。評価しない、つまり相続税の計算に金額として乗せない扱いです。

同じ「私道」という言葉でも、30%で評価するものと、評価しないものに分かれる点がこの制度のポイントです。どちらにあたるかは、その道が実際にどう使われているかによって判断されます。ご自身のケースがどちらなのかは、一次ソースの内容を確認したうえで、税理士など専門家に見てもらうのが確実です。

首都圏の住まいへの影響

東京・埼玉・神奈川・千葉の住宅地には、幅の狭い道や、奥まった数軒だけが使う道が数多くあります。こうした道が私道で、その持分を土地とは別に相続しているケースは珍しくありません。持分が小さく、面積も少ないため、遺産の一覧から抜け落ちやすいのが実情です。

評価の考え方を知らずに、私道の持分をふつうの宅地と同じ前提で扱ってしまうと、実際の扱い(30%、または評価しない)と食い違うことになります。逆に、道の持分そのものを一覧に載せ忘れることもあります。どちらも、あとから直す手間につながります。

まずは「家の前の道は誰の土地か」「その持分を相続しているか」を確かめるところからです。登記の内容や持分の有無を調べる場面では司法書士、相続税の評価や申告の判断は税理士と、相談先が分かれる点にご注意ください。

いつ・何を確認すればいいか

よくある質問

Q1. 私道の持分は、ふつうの土地と同じ金額で相続税がかかりますか。 A. 私道として使われている宅地は、私道でないものとして路線価方式または倍率方式で評価した価額の30%相当額で評価するとされています。ふつうの宅地としての金額そのままではありません。ただし、ご自身の土地がこの扱いにあたるかどうかは個別の事情によりますので、税理士にご確認ください。

Q2. 家の前の私道が、近所の人も自由に通り抜けに使っている道です。扱いは変わりますか。 A. 公共の用に供する、不特定多数の人が通行する通り抜け道路にあたるものは、その価額を評価しないとされています。実際にその道がこれにあたるかどうかの判断は、道の使われ方などをふまえて行われますので、一次ソースを確認のうえ専門家にご相談ください。

Q3. 私道の持分があるかどうかは、どうやって調べればいいですか。 A. 登記事項証明書や公図などで、前面道路の土地が誰の名義になっているか、持分を持っているかを確認できます。登記の内容や名義の調べ方については司法書士・弁護士、相続税の評価や申告については税理士と、それぞれの専門家にご相談ください。