相続した実家の名義変更が済むまでの間、市区町村に「私が今の所有者です」と伝える手続きがあります
登記簿の名義人が亡くなり、相続登記(名義変更)が終わるまでの間、その家や土地を実際に所有している相続人などに対して、市町村が氏名・住所などを申告させる制度があります。令和2年度の税制改正で設けられたもので、固定資産税を誰に請求するかを市町村が把握するための手続きです。親名義の家を相続した方、まだ名義変更に手がついていない方は、ご自分に関係する話です。
何が変わったのか
これまで、登記簿上の所有者が亡くなったあと相続登記がされないままだと、市町村が「今この不動産を持っているのは誰か」を把握できない状態が生まれていました。令和2年度税制改正で、その空白の期間について、現にその不動産を所有している相続人等(現所有者)に、氏名・住所などを市町村へ申告してもらう制度が設けられました。申告を求める根拠は各市町村の条例で、申告の期限や申告書の様式も市町村の条例で定められます。ですから、必要な書式や提出先は、物件のある市区町村ごとに確認する必要があります。大切なのは、これは相続登記とは別の手続きだという点です。
首都圏の住まいへの影響
東京・埼玉・神奈川・千葉で親名義の不動産を相続した場合も、この制度は物件のある市区町村の条例に従って運用されます。首都圏は市区町村の数が多く、申告の期限や様式は自治体ごとに定められるため、「隣の市と同じはず」と考えずに、その物件がある市区町村の案内を直接確かめるのが確実です。複数の自治体に不動産が散らばっているケース(たとえば都内の自宅と千葉の別荘)では、それぞれの市区町村に申告が必要になる可能性があるため、物件ごとに確認してください。また、相続登記を司法書士に頼んでいても、この申告は固定資産税の窓口(市区町村の資産税課など)への手続きなので、登記の依頼だけで自動的に済むとは考えないほうが安全です。
いつ・何を確認すればいいか
- 物件のある市区町村の固定資産税窓口に問い合わせる — 申告の期限と申告書の様式は各市町村の条例で定められています。確定した期限は自治体ごとに異なるため、最新の期限・様式は物件所在地の市区町村の案内で確認してください
- 相続登記の予定とは切り離して考える — 登記が済んでいなくても申告を求められる制度です。登記の手続きを待たずに窓口を確認しましょう
- 不動産が複数の市区町村にある場合は、それぞれで確認する — 条例は自治体ごとなので、まとめて1か所で済む前提を置かないでください
- 制度の内容そのものは一次ソースで確認する — 総務省「所有者不明土地等に係る固定資産税の課題への対応」(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/144643_02.html)。登記のご相談は司法書士・弁護士、税金の取り扱いは税理士へどうぞ
よくある質問
Q. 相続登記をすれば、この申告はしなくていいのですか?
A. この申告は、登記簿上の所有者が亡くなってから相続登記がされるまでの間について求められる、相続登記とは別の手続きです。申告が必要かどうか、いつまでに出すのかは市町村の条例で定められているため、物件のある市区町村の固定資産税窓口でご確認ください。
Q. 申告書はどこでもらえて、いつまでに出すのですか?
A. 申告の期限も様式も、各市区町村の条例で定められています。全国共通の期限や書式が決まっているわけではないため、物件が所在する市区町村の案内で最新の情報をご確認ください。
Q. 何のためにこの申告をするのですか?
A. 固定資産税の納税義務者を市町村が把握するための手続きです。登記簿の名義人が亡くなったまま名義変更がされていないと、誰に固定資産税を請求すればよいかが分からなくなるため、実際に所有している方から氏名・住所などを申告してもらう仕組みになっています。