判断能力があるうちに、公正証書で将来の後見人と委任内容を決めておける制度です

親御さんの家をいずれ売る・貸す・片付けることになりそうだと感じている方に関わる話です。任意後見制度は、本人の判断能力がしっかりしているうちに、将来自分の後見人になってもらう方と、その方にお願いする事務の内容を、公正証書による契約であらかじめ決めておく仕組みです。契約を結んだだけではまだ効力は生じず、実際に動き出すまでに一段階あるところが、この制度を理解するうえでの要点になります。

何が変わったのか

任意後見制度でまず押さえたいのは、「誰に」「何を」お願いするかを、本人自身が元気なうちに決められる点です。委任する事務の内容は契約であらかじめ定めておきます。この契約は、口約束や手書きの書面ではなく、公正証書で結ぶ必要があります。そして契約の効力は、契約した時点ではなく、本人の判断能力が不十分になった後に、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時から生じます。効力が生じると、任意後見人が、契約で委任された事務を本人に代わって行うことになります。つまり「本人が決めておく」段階と、「家庭裁判所が関与して動き出す」段階の二段構えになっている制度です。

首都圏の住まいへの影響

東京・埼玉・神奈川・千葉で家を所有している方にとって、この二段構えの意味は小さくありません。親御さんの判断能力が不十分になってから「家を売りたい」となっても、家族だからというだけで代わりに手続きができるわけではないためです。任意後見制度を使うのであれば、本人に十分な判断能力があるうちに、誰に何を委任するかを公正証書で決めておく必要があります。委任する事務の内容は契約で定めるものなので、住まいに関することをどこまで含めるのかは、あらかじめ考えておくべき論点になります。首都圏では親御さんと子世帯が別の市区に住んでいることも多く、いざというときに慌てて動き出すと選択肢が狭まりやすい点にもご注意ください。なお、実際にどのような内容を契約に盛り込めるか、ご家庭の事情でどう設計すべきかは個別性が高いので、一次ソースをご確認のうえ、司法書士・弁護士などの専門家にご相談ください。

いつ・何を確認すればいいか

  • 本人の判断能力があるうちかどうかを確認する。任意後見契約は、本人に十分な判断能力があるうちに結んでおく必要があります
  • 誰を将来の後見人にするか、何を委任するかを家族で話し合っておく。委任する事務の内容は契約であらかじめ定めます
  • 公正証書で契約するという形式の要件を押さえる。手続きの詳細は公証役場や司法書士・弁護士にご確認ください
  • 制度の詳しい内容は、法務省「成年後見制度Q&A」Q16〜Q20(https://www.moj.go.jp/MINJI/a03.html )をご覧ください。手続きや要件の最新の状況は、必ず一次ソースや専門家にご確認ください

よくある質問

Q. 任意後見契約を結んだら、すぐに後見人が動き出すのですか。 A. いいえ。契約の効力は、本人の判断能力が不十分になった後に、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時から生じます。契約を結んだ時点ではまだ効力は生じていません。

Q. 後見人にお願いできる内容は決まっているのですか。 A. 任意後見制度では、その方に委任する事務の内容を契約であらかじめ定めておく仕組みになっています。ご家庭ごとにどう定めるべきかは個別の判断になりますので、司法書士・弁護士などの専門家にご相談ください。

Q. 家族だけで書面を作っておけばよいのでしょうか。 A. 任意後見契約は公正証書によるものとされています。具体的な作成手続きについては、公証役場や司法書士・弁護士にご確認ください。なお、相続にともなう税金のことは税理士、登記のことは司法書士・弁護士へのご相談をおすすめします。