相続人の中に行方が分からない人がいると、遺産分割協議は成立しません

親や親族が亡くなって相続の手続きを進めようとしたとき、相続人の一人が昔の住所を離れたまま連絡がつかない、ということがあります。この場合、その人を抜かして残りの相続人だけで話し合っても、遺産分割協議は成立しません。家庭裁判所に「不在者財産管理人」を選んでもらう手続きが必要になります。

何が変わったのか

もとの住所を去っていて、簡単には戻ってくる見込みがない相続人がいる場合、その人は「不在者」として扱われます。相続の話し合い(遺産分割協議)は相続人全員がそろっていないと成立しないため、不在者を除いたままでは手続きが先に進みません。そこで、他の相続人など利害関係のある人は、不在者の従来の住所地を担当する家庭裁判所に、不在者財産管理人を選んでほしいと申し立てることができます。申立てのときには収入印紙800円が必要です。選ばれた管理人は不在者の財産を守る役割を担いますが、遺産分割協議に加わることや不動産を売ることまで自由にできるわけではなく、家庭裁判所から「権限外行為許可」を得なければなりません。

首都圏の住まいへの影響

東京・埼玉・神奈川・千葉で実家や土地を相続したとき、名義を変えたり売ったりするには遺産分割協議がまとまっていることが前提になります。相続人の誰かが連絡不能のままだと、この前提が崩れ、売却も賃貸も進められない状態が続きます。申立て先は不在者の従来の住所地の家庭裁判所なので、不動産がある場所とは別の裁判所になることもあり、その分の段取りを見込んでおく必要があります。さらに、管理人が決まっても、遺産分割協議への参加や不動産の売却には家庭裁判所の権限外行為許可という段階がもう一つあります。つまり「連絡がつかない相続人がいる」と分かった時点で、売却の予定は早めから余裕をもって組み立てたほうが安全です。

いつ・何を確認すればいいか

  • 相続人を一覧にして、全員と連絡が取れるかを最初に確認する。取れない人がいれば、その人が「従来の住所を去り、容易に戻る見込みがない」状態かどうかを整理する
  • 不在者の従来の住所地がどこの家庭裁判所の担当になるかを確認する。申立てには収入印紙800円が必要
  • 不動産を売る予定があるなら、管理人の選任だけでなく、家庭裁判所の権限外行為許可まで必要になることを前提にスケジュールを立てる
  • 必要書類や費用の内訳、手続きの最新の運用は、一次ソース(裁判所「不在者財産管理人選任」https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_05/index.html )で確認し、個別の判断は司法書士・弁護士などの専門家にご相談ください。税金の扱いは税理士にご確認ください

よくある質問

Q. 連絡がつかない相続人を外して、残りの人だけで遺産分割を決めてもいいですか。 A. できません。従来の住所を去り、容易に戻る見込みのない相続人がいる場合、その人を除いた遺産分割協議は成立しない扱いになります。家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てる方法があります。

Q. 申立てはどこにして、いくらかかりますか。 A. 申立て先は、不在者の従来の住所地の家庭裁判所です。申立てには収入印紙800円が必要です。これ以外の費用や必要書類は裁判所の案内でご確認ください。

Q. 管理人が選ばれたら、そのまま実家を売ってもらえますか。 A. そのままではできません。管理人が不在者に代わって遺産分割協議をしたり不動産を売ったりするには、家庭裁判所の権限外行為許可を得る必要があります。個別のケースの見通しは専門家にご確認ください。