この記事でわかること
- 居住用財産を譲渡した場合の3000万円特別控除(租税特別措置法35条)の基本的な仕組み
- 適用できないケース(親族間売買・他の特例との併用制限)と注意点
- 「住まなくなってから3年目の年末まで」という適用期限の正確な数え方
- 確定申告で必要になる書類と手続きの流れ
- 所有期間10年超の軽減税率の特例(措置法31条の3)と併用できるかどうか
結論を先にお伝えします。 マイホーム売却の3000万円特別控除は、自分が住んでいた家を売って得た譲渡所得から最大3000万円を差し引ける制度で、住まなくなって3年目の年末までに売却し、確定申告すれば所有期間に関係なく利用できます。
先月、ご相談者様から実際にこんなケースを伺いました。「親の介護のために実家へ移り、5年前まで住んでいた自宅マンションを今になって売りたい。もう特別控除は使えないのでは」というご相談でした。お話を整理すると、住まなくなったのが5年前。残念ながら「住まなくなってから3年目の年末まで」という期限を過ぎており、3000万円控除は使えない状況でした。あと数年早くご相談いただければ、と悔やまれるケースです。期限の数え方は、後ほど詳しく解説します。
3000万円特別控除とは?仕組みと節税効果
居住用財産(マイホーム)を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、一定の要件を満たせば、その譲渡所得から最高3000万円を控除できます。これが「居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除の特例」で、租税特別措置法第35条に定められています(2026年5月現在)。
譲渡所得は次の式で計算します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 譲渡価額 | 売却した金額 |
| 取得費 | 購入代金+購入時の費用-減価償却費 |
| 譲渡費用 | 仲介手数料・印紙税など売却にかかった費用 |
| 譲渡所得 | 譲渡価額 -(取得費+譲渡費用) |
この譲渡所得から3000万円を差し引けるため、譲渡所得が3000万円以下であれば、課税される所得は0円になります。所有期間の長短を問わず適用できる点が、この特例の大きな特徴です。
Q: マンションでも一戸建てでも使えますか? A: はい。自分が住んでいた家屋であれば、マンション・一戸建てを問わず対象になります。家屋とともにその敷地(土地)を売る場合は、土地部分も合わせて控除の対象です。
適用できないケースに注意(親族間売買・併用制限)
3000万円特別控除には、利用できない代表的なケースがあります。せっかく要件を満たしていても、次に当てはまると適用できません。
- 特別な関係者への売却:配偶者、直系血族(親・子・祖父母・孫など)、生計を一にする親族、売却後にその家へ同居する親族などへ売った場合は対象外です。
- この特例を受けることを目的に入居した家屋:一時的な入居や、別荘などの趣味・娯楽・保養目的の家屋は対象外です。
- 以前の年に特例を受けている場合:3000万円控除や買換え特例などを、売却した年の前年・前々年に受けているときは適用できません(連年適用の制限)。
特に親族間売買は見落とされがちです。「子どもに安く売って控除も使おう」と考えても、直系血族への売却は制度上対象外となります。
また、住宅ローン控除との関係にも注意が必要です。売却した年・その前年・前々年に、新たに購入したマイホームで住宅ローン控除を受けている(または受ける予定の)場合、3000万円特別控除との併用はできません。買い替えで両方を使おうとすると、どちらか有利な方を選ぶ判断が必要になります。
「住まなくなってから3年目の年末まで」期限の正確な数え方
転勤や住み替えで一度家を空けてから売る場合、期限の理解が極めて重要です。
要件は「住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること」です。
たとえば2023年5月に住まなくなった場合、「3年を経過する日」は2026年5月、その日の属する年は2026年なので、2026年12月31日までに売却すれば適用できます。冒頭のご相談者様のように5年前に住まなくなっていると、この期限を過ぎているため使えません。
加えて、家屋を取り壊して土地だけを売る場合は、取り壊しから1年以内に売買契約を結ぶことなど、別の要件も加わります。空き家になった実家を売るときは、早めに段取りを確認しておくことをおすすめします。
確定申告で必要な書類と手続きの流れ
3000万円特別控除は、要件を満たすだけでは自動的に適用されません。控除を受けるには確定申告が必須です。譲渡所得が控除によって0円になる場合でも、申告しなければ特例は適用されない点に注意してください。
申告時期は、売却した年の翌年2月16日から3月15日までが原則です。主な必要書類は次のとおりです。
- 確定申告書(譲渡所得がある場合の様式)
- 譲渡所得の内訳書(土地・建物用)
- 売却したときの売買契約書の写し
- 購入したときの売買契約書・諸費用の領収書の写し(取得費の計算用)
- マイナンバー関連書類(本人確認書類)
なお、売却した家屋の所在地と、申告者の現住所が異なる場合などは、戸籍の附票の写しなど、住んでいた事実を確認できる書類の提出を求められることがあります。
手続きに不安がある方や、取得費が分かる書類が見つからない方は、早い段階でご相談ください。ROCKEDGEでは売却前の段階から、特例の適用可否や必要書類の整理について無料でご相談を承っています。売却のタイミングひとつで使える特例が変わるため、契約前のご相談が有効です。
軽減税率の特例(10年超所有)とは併用できる
所有期間が10年を超えるマイホームを売った場合、「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(軽減税率の特例・措置法31条の3)」を利用できます。
そして、この軽減税率の特例は、3000万円特別控除と併用できます。手順としては、まず譲渡所得から3000万円を控除し、控除後に残った金額に対して軽減税率を適用します。
| 課税長期譲渡所得(3000万円控除後) | 税率 |
|---|---|
| 6000万円以下の部分 | 14.21%(所得税10.21%+住民税4%) |
| 6000万円を超える部分 | 20.315% |
※所得税には復興特別所得税が含まれます(2026年5月現在)。
たとえば譲渡所得が5000万円で所有期間10年超なら、3000万円を控除した残り2000万円に14.21%の軽減税率が適用され、大きな節税につながります。
不動産の譲渡所得税は、適用できる特例の組み合わせによって税額が大きく変わります。ご自身のケースで何が使えるかは個別の事情により異なるため、詳細は税理士などの専門家にご確認ください。本記事は2026年5月時点の制度に基づく一般的な解説です。
売却のお悩みはROCKEDGEの無料相談へ
ROCKEDGEでは売却に関するご相談を承っています。「何から手をつければいいか分からない」という段階からお気軽にご連絡ください。業界24年の経験で、あなたの状況に合った選択肢を中立的な立場でご提案します。
対応エリア: 東京・埼玉・神奈川・千葉(1都3県)