この記事でわかること
- 相続した実家の土地が「路線価方式」「倍率方式」のどちらで評価されるかの見分け方
- 路線価・固定資産税評価額・公示地価・実勢価格の4つの違いと関係
- 建物(家屋)は土地と評価方法が異なり、固定資産税評価額がそのまま使われる仕組み
- 小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等:330㎡まで80%減)の適用要件
- 評価額が分かったあとに取れる「保有・売却・分割」の選択肢
相続した実家の土地は、市街地なら路線価方式、それ以外は倍率方式で評価し、相続税の路線価は公示地価のおよそ8割、固定資産税評価額はおよそ7割が目安です。建物は固定資産税評価額をそのまま使います。
先月、ご相談者様から「親の家を相続したが、固定資産税の納税通知書に書かれた評価額がそのまま相続税の対象になるのか分からない」というご相談を受けました。お話を伺うと、納税通知書の「価格(評価額)」を相続税評価額だと思い込み、実際よりかなり高い税額を心配されていたのです。実は土地については別の基準(路線価)で計算するため、誤解されたまま不安を抱える方は少なくありません。業界24年のなかでも、この「評価額の種類の違い」は最もつまずきやすいポイントだと感じています。
そもそも「土地の値段」は1つではない
同じ土地でも、目的によって複数の価格が存在します。これを「一物四価」と呼ぶことがあります。混同すると税額の見通しを大きく誤るため、まず全体像を押さえましょう(2026年5月現在)。
| 価格の種類 | 主な目的 | 公示地価との水準目安 | 公表機関 |
|---|---|---|---|
| 公示地価 | 土地取引の指標 | 100%(基準) | 国土交通省 |
| 相続税路線価 | 相続税・贈与税の計算 | 約80% | 国税庁 |
| 固定資産税評価額 | 固定資産税・登録免許税等 | 約70% | 市区町村 |
| 実勢価格 | 実際の売買成立額 | 市況により変動 | (市場で決まる) |
ポイントは、相続税の計算に使うのは「相続税路線価」であり、納税通知書に載っている「固定資産税評価額」ではないという点です。水準が異なるため、固定資産税評価額をそのまま相続税の土地評価額と考えると、見積もりがずれます。
相続税評価の路線価方式と倍率方式はどう違う?
相続税で土地を評価する方法は、大きく2つに分かれます。どちらを使うかは、その土地のある地域によって国税庁があらかじめ定めています。
路線価方式(主に市街地)
道路ごとに「1㎡あたりの価額(路線価)」が定められている地域で使う方法です。基本的な計算は次のとおりです。
路線価 × 各種補正率 × 地積(㎡)= 土地の評価額
たとえば路線価が1㎡あたり20万円、面積が150㎡なら、補正前の概算で20万円 × 150㎡ = 3,000万円が目安になります。実際には土地の形(間口・奥行・不整形など)に応じて補正率で調整します。路線価は国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で誰でも確認できます。
倍率方式(路線価が定められていない地域)
郊外や農村部など、路線価が設定されていない地域で使います。計算式は次のとおりです。
固定資産税評価額 × 評価倍率 = 土地の評価額
ここで初めて固定資産税評価額が登場します。倍率方式では、市区町村が定めた固定資産税評価額に、国税庁が地域ごとに公表する「評価倍率」を掛けます。つまり倍率方式の地域に限っては、固定資産税評価額が相続税評価の出発点になるわけです。ご自身の実家がどちらの方式かは、路線価図に路線価が記載されているかどうかで判断できます。
建物(家屋)は土地と評価方法がまったく違う
土地ばかりに注目しがちですが、実家には建物もあります。建物の相続税評価額は、原則として固定資産税評価額がそのまま評価額になります(自用家屋の場合)。土地のように路線価や倍率を掛ける必要はありません。
- 自分や家族が住んでいた家屋:固定資産税評価額 × 1.0
- 第三者に賃貸していた家屋:固定資産税評価額から借家権割合などを控除
建物は新築時から年数の経過とともに固定資産税評価額が下がっていくため、築年数の古い実家ほど評価額は低くなる傾向があります。納税通知書では土地と家屋が別々に記載されているので、混同しないよう分けて確認しましょう。
小規模宅地等の特例で評価額が大きく下がる場合がある
相続税の負担を考えるうえで欠かせないのが「小規模宅地等の特例」です。亡くなった方が自宅として使っていた土地(特定居住用宅地等)について、330㎡を上限に評価額を80%減額できる制度です。
たとえば評価額3,000万円・面積330㎡以内の土地であれば、特例適用後は600万円まで圧縮できる計算になります。ただし適用には要件があります(2026年5月現在の主な例)。
- 配偶者が取得する場合:無条件で適用可能
- 同居していた親族が取得する場合:相続税の申告期限まで引き続き居住・保有していること
- 別居の親族が取得する場合:いわゆる「家なき子」の要件など、一定の条件を満たすこと
注意したいのは、この特例は相続税の申告をして初めて適用される点です。「特例を使えば税額ゼロだから申告不要」と考えるのは誤りで、特例適用の結果として税額がゼロになる場合でも申告そのものは必要です。相続税の申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。要件の判定は個別事情で変わるため、早めの確認をおすすめします。
評価額が分かれば、次の3つの選択肢が見えてくる
評価額の全体像をつかむことは、単に税額を知るためだけではありません。実家をどうするかという意思決定の出発点になります。
- 保有する:固定資産税やメンテナンス費用など保有コストと、将来の活用見込みを比較します。空き家のまま放置すると、特定空家等に指定され固定資産税の住宅用地特例が外れるリスクもあります。
- 売却する:実勢価格は相続税評価額と一致しません。評価額はあくまで税計算上の数字であり、実際の売却では市場の需給で価格が決まります。相続税評価額と市場価格の差を把握することが、売り時の判断につながります。
- 分割する(遺産分割):相続人が複数いる場合、不動産は現物分割・代償分割・換価分割などの方法で分けます。評価額が明確でないと、相続人間の公平な分割協議が進みません。
ROCKEDGEでは、評価額の整理から売却・活用・分割協議の見通しまで、一人ひとりの事情に合わせて無料でご相談を承っています。「うちのケースはどの方式で、いくらくらいになるのか」を具体的に知りたい方は、納税通知書をお手元にご相談いただくとスムーズです。
評価額の計算や特例の適用可否は、土地の形状・利用状況・相続人の構成など個別の事情により異なります。最終的な判断にあたっては、税理士や不動産の専門家へご相談ください。
相続のお悩みはROCKEDGEの無料相談へ
ROCKEDGEでは相続に関するご相談を承っています。「何から手をつければいいか分からない」という段階からお気軽にご連絡ください。業界24年の経験で、あなたの状況に合った選択肢を中立的な立場でご提案します。
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