この記事でわかること
- 子どもがいない夫婦やおひとりさまの場合、誰が相続人になるのか(配偶者・親・兄弟姉妹の順番)
- 配偶者と兄弟姉妹が相続人になるときの法定相続分は「配偶者4分の3・兄弟姉妹4分の1」であること(民法900条)
- 兄弟姉妹には「遺留分(いりゅうぶん)」がないため、遺言を書けば配偶者に全財産を遺せること
- おひとりさまが元気なうちに準備しておくべき「遺言」と「死後事務委任契約」
- 相続人がまったくいない場合、最後に財産がどうなるのか(国のものになる流れ)
子どもがいない夫婦は、配偶者だけが相続人になるとは限りません。亡くなった方の親や兄弟姉妹も相続人になります。ただし兄弟姉妹には遺留分がないため、遺言を残せば配偶者へ全財産を遺すことが可能です(2026年5月現在)。
私(ミヤオ ヒロキ)は不動産コンサルタントとして24年、相続のご相談に携わってきました。先月、70代のご相談者様から「夫が亡くなり、自宅も預金も自分が相続できると思っていたら、夫の弟さんから『自分にも権利がある』と連絡が来て驚いた」というお話を伺いました。お子さんがいないご夫婦で、遺言もなかったケースです。実はこれ、決して珍しいことではありません。「配偶者が全部もらえる」と思い込んでいる方が本当に多いのです。この記事では、はじめて相続に直面した方にも分かるよう、やさしい言葉で全体像を整理していきます。
子どもがいないと、誰が相続人になるの?
まず、相続人になる人には法律で決められた「順番」があります。これを定めているのが民法887条〜890条です。配偶者(夫または妻)は、どんなときも必ず相続人になります。問題は「配偶者と一緒に誰が相続人になるか」です。
| 順位 | 配偶者と一緒に相続人になる人 |
|---|---|
| 第1順位 | 子ども(孫が代わりになることも) |
| 第2順位 | 親などの直系尊属(子がいない場合) |
| 第3順位 | 兄弟姉妹(子も親もいない場合) |
「直系尊属(ちょっけいそんぞく)」とは、親・祖父母など自分より上の世代の血のつながった家族のことです。
つまり、子どもがいないご夫婦では、次のように相続人が決まります。
- 親が存命なら → 配偶者と親
- 親が亡くなっていて、兄弟姉妹がいるなら → 配偶者と兄弟姉妹
- 親も兄弟姉妹もいないなら → 配偶者だけ
冒頭のご相談者様のケースは、ご主人のご両親が既に他界され、弟さんが健在だったため「配偶者と兄弟姉妹」のパターンに当てはまっていたのです。
配偶者と兄弟姉妹の法定相続分は?
では、配偶者と兄弟姉妹が相続人になったとき、どんな割合で分けるのでしょうか。法律(民法900条)で決められた目安を「法定相続分(ほうていそうぞくぶん)」といいます。
- 配偶者と親が相続人 → 配偶者 3分の2・親 3分の1
- 配偶者と兄弟姉妹が相続人 → 配偶者 4分の3・兄弟姉妹 4分の1
兄弟姉妹が複数いれば、4分の1をその人数で分け合います。
ここで多くの方が不安に思うのが、「自宅は配偶者と二人で住んできたのに、4分の1を兄弟姉妹に渡さないといけないの?」という点です。預金なら分けられますが、不動産は簡単に切り分けられません。配偶者がそのまま住み続けたい場合、兄弟姉妹の取り分に相当する現金を用意して支払う(これを代償分割といいます)必要が出てくることもあります。
「Q: 兄弟姉妹とほとんど付き合いがなくても、相続分を渡さないといけませんか?」 「A: 遺言がない場合は、付き合いの有無にかかわらず法定相続分が基準になります。だからこそ、後述する遺言の準備が大切になります。」
兄弟姉妹には「遺留分」がない、という大事なポイント
ここがこの記事で一番お伝えしたい、希望のあるお話です。
「遺留分(いりゅうぶん)」とは、相続人に法律上最低限保障された取り分のことです。たとえ遺言で「全部を他の人に」と書かれても、遺留分を持つ人は一定額を請求できます。
ところが、兄弟姉妹にはこの遺留分がありません(民法1042条で遺留分が認められるのは配偶者・子・直系尊属のみ)。
これが何を意味するか。「配偶者と兄弟姉妹」が相続人になるケースでは、「全財産を配偶者に相続させる」という遺言を残しておけば、その通りに実現できるのです。兄弟姉妹は「自分にも分けてほしい」と請求することができません。
冒頭のご相談者様も、もしご主人が遺言を一通残していれば、弟さんからの連絡に悩まされることはありませんでした。「遺言なんて、まだ早い」「縁起でもない」と先延ばしにしがちですが、お子さんのいないご夫婦こそ、お互いを守るために早めの準備が効いてきます。
おひとりさまが備えておきたい「遺言」と「死後事務」
おひとりさま(独身で子もいない方)の場合は、さらに踏み込んだ準備が安心につながります。
1. 遺言を残す 財産を誰に遺すかを自分の意思で決められます。遺言には主に2種類あります。
- 自筆証書遺言:自分で書く方式。法務局で保管してもらえる「自筆証書遺言書保管制度」(2020年7月10日開始)を使うと、紛失や改ざんの心配が減ります。
- 公正証書遺言:公証役場で公証人に作ってもらう方式。費用はかかりますが、無効になりにくく確実です。
2. 死後事務委任契約を結ぶ 亡くなった後の葬儀、家財の片付け、各種解約手続きなどを、信頼できる人や専門家に頼んでおく契約です。おひとりさまは「やってくれる家族」がいないことが多いため、生前に決めておくと安心です。
3. 任意後見・財産管理の検討 判断能力が衰えたときに備える制度もあります。詳しくは専門家にご相談ください。
相続人が誰もいないと、財産はどうなる?
「身寄りがまったくいない」場合、財産は最終的にどうなるのでしょうか。
相続人がいない(相続人不存在)ときは、家庭裁判所が選んだ「相続財産清算人」が借金の清算などを行います。その後、生前に深い関わりのあった人(特別縁故者)が認められれば財産を受け取れることもありますが、それでも残った財産は**最終的に国のもの(国庫に帰属)**になります(民法959条)。
「せっかく築いた財産を、お世話になった人や応援したい団体に遺したかった」という思いがあるなら、やはり遺言が必要です。遺言があれば、お世話になった姪や甥、友人、団体などへ遺すこともできます。
もめないために:不動産は「売って現金で分ける」が有力な選択肢
相続でもめる一番の火種は、実は不動産です。預金は1円単位で公平に分けられますが、自宅や土地は分けにくく、現金化もすぐにはできません。「兄が家を継ぎたい、でも妹は現金がほしい」といった対立が起きやすいのです。
こうしたとき、**不動産を売却して、得たお金を相続人で公平に分ける「換価分割(かんかぶんかつ)」**が、円満な解決策になることがあります。誰か一人が家を抱え込むより、現金にして等分するほうが、感情的なしこりも残りにくいものです。
ただ、「いくらで売れるのか」「今売るべきか」「税金はどうなるのか」が分からず、話し合いが進まないご家族も多くいます。私たちROCKEDGEでは、不動産の査定から売却、そして提携する税理士・司法書士との連携まで、中立の立場でワンストップでお手伝いしています。「まず現状を知りたい」という段階でも構いません。ご家族の誰か一人に肩入れするのではなく、全員が納得できる落としどころを一緒に探すお手伝いができればと思っています。
なお、感情面の配慮として一言。相続の話は「言い出しにくい」「不公平に感じる」がつきものです。早い段階で中立の専門家を間に入れることが、もめないための最大のコツです。当事者だけで抱え込まず、第三者の視点を借りてみてください。
相続の進め方は、ご家族の状況や財産の中身によって一つひとつ異なります。個別の事情により最適な対策は変わりますので、具体的な判断は税理士・司法書士などの専門家へご相談ください。
相続のお悩みはROCKEDGEの無料相談へ
ROCKEDGEでは相続に関するご相談を承っています。「何から手をつければいいか分からない」という段階からお気軽にご連絡ください。業界24年の経験で、あなたの状況に合った選択肢を中立的な立場でご提案します。
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