相続した不動産を売却する流れと手順|相続登記から引き渡しまで全7ステップ

相続した不動産の売却は、相続登記→遺産分割協議→査定→媒介契約→売り出し→売買契約→引き渡しの全7ステップで進みます。2024年4月施行の相続登記義務化や、取得費加算の特例(相続開始から3年10か月以内)、空き家3000万円特別控除まで、初めての方にやさしく解

この記事でわかること

  • 相続した不動産を売るには、まず「相続登記(名義変更)」を済ませる必要があること
  • 遺産分割協議で「誰の名義にして売るか」「代金をどう分けるか」を先に決める理由
  • 査定から引き渡しまで、相続不動産の売却を進める全7ステップの具体的な手順
  • 売却益が出たときにかかる「譲渡所得税」と、負担を軽くできる2つの特例
  • 相続開始から3年10か月以内の売却で使える「取得費加算の特例」のしくみ

相続した不動産を売却する流れは、①相続登記で名義を変える→②遺産分割協議で分け方を決める→③査定→④媒介契約→⑤売り出し→⑥売買契約→⑦引き渡し、という7つのステップで進みます。順番を間違えると売り出せないこともあるため、全体像を先につかむことが大切です(2026年5月現在)。

先月、私(ミヤオ ヒロキ)がご相談を受けたケースをご紹介します。お父様を亡くされた3人のご兄弟が、実家を売って現金で分けたいとお越しになりました。ところが「亡くなった親の名義のままでは売れないと不動産会社に言われた」と困惑されていたのです。皆さん不動産を売るのは初めてで、「何から手をつければいいのか分からない」という状態でした。これは決して珍しいことではありません。順を追って整理すれば、必ず前に進めます。この記事では、はじめて相続を経験する方に向けて、できるだけやさしい言葉で全体の流れをお伝えします。

まず知っておきたい大前提|なぜ「名義変更」が先なのか?

亡くなった方(被相続人)の名義のままでは、不動産を売ることはできません。売買契約を結ぶには、売る人が「自分のものです」と公的に証明できる状態、つまり**相続登記(不動産の名義を相続人に変更する手続き)**が済んでいる必要があるからです。

ここで重要な点が一つあります。2024年4月1日(令和6年4月1日)から、相続登記は義務化されました。相続で不動産を取得したことを知った日から原則3年以内に登記をしないと、10万円以下の過料(行政上のペナルティ)が科される可能性があります(法務省、2026年5月現在)。「売るかどうか迷っている」場合でも、名義変更は避けて通れない手続きになったとお考えください。

Q:名義変更には何が必要ですか? A:被相続人の出生から死亡までの戸籍、相続人全員の戸籍、遺産分割協議書、相続人の住民票などが必要です。書類集めだけで1〜2か月かかることも珍しくありません。早めの着手が安心です。

相続不動産の売却・全7ステップ

ここからが本題です。実際の手順を番号順に見ていきましょう。

ステップ内容主にすること
遺産分割協議誰が相続し、代金をどう分けるか決める
相続登記不動産の名義を相続人へ変更する
査定不動産会社に価格を見積もってもらう
媒介契約売却を依頼する契約を結ぶ
売り出し広告を出し、買主を探す
売買契約買主と契約・手付金を受け取る
引き渡し残代金を受け取り、登記を移す

ステップ①:遺産分割協議で「分け方」を決める

相続人が複数いる場合、まず全員で話し合い、誰の名義にして売るのか、そして売れたお金をどう分けるのかを決めます。この合意内容を書面にしたものが「遺産分割協議書」です。

不動産は現金と違って「きれいに3等分」がしにくいため、相続の争いの火種になりやすい財産です。そこで有力なのが**換価分割(かんかぶんかつ)**という方法です。これは不動産を売って現金に換え、その現金を相続人で分ける分け方のこと。「家そのもの」より「売ったお金」のほうが1円単位で公平に分けられるため、もめにくいのが大きな利点です。

経験上、もめないための最大のコツは、早い段階で中立的な専門家を間に入れることです。当事者だけだと「言い出しにくい」「不公平に感じる」といった感情が表に出にくく、後で大きなしこりになりがちです。

ステップ②:相続登記で名義を変える

協議がまとまったら、その不動産の所在地を管轄する法務局へ相続登記を申請します。代表者1人の名義にする方法、共有名義にする方法などがあり、税金や手続きへの影響が異なります。換価分割の場合は、便宜上代表者1人の名義にして売却し、後で代金を分けることも多くあります。判断に迷う点なので、司法書士に相談すると確実です。

ステップ③〜④:査定を受けて媒介契約を結ぶ

名義が整ったら、不動産会社に査定を依頼します。複数社に見てもらい、価格の根拠が明確な会社を選びましょう。納得できたら、売却活動を任せる媒介契約を結びます。

ステップ⑤〜⑦:売り出し・契約・引き渡し

広告を出して買主を探し、価格や条件の交渉を経て売買契約を結びます。このとき手付金を受け取ります。最後に、買主から残代金を受け取るのと引き換えに鍵と書類を渡し、所有権を買主へ移す**引き渡し(決済)**で完了です。契約から引き渡しまでは1〜2か月程度が一般的です。

売却益が出たらかかる「譲渡所得税」とは?

不動産を売って利益(譲渡所得)が出ると、所得税・住民税がかかります。計算式は次のとおりです。

譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)

「取得費」は、亡くなった方がその不動産を買ったときの価格などを引き継ぎます。古い家で購入価格が分からない場合は、売却価格の5%を取得費とみなすこともできます(国税庁、2026年5月現在)。

税率は所有期間で変わります。相続した不動産は亡くなった方が取得した日を引き継ぐため、被相続人が長く持っていた家なら「長期譲渡所得(税率合計20.315%)」が適用されることが多いです。相続した日からの年数で短期と判断されるわけではない点に注意してください。

税負担を軽くできる2つの特例

相続不動産の売却では、条件を満たすと使える特例があります。代表的な2つを紹介します。

① 取得費加算の特例(措置法39条)

相続税を納めた人が、相続開始の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで(おおむね相続開始から3年10か月以内)に売却した場合、納めた相続税の一部を取得費に加算でき、譲渡所得税を減らせます。期限がある特例なので、売却の検討は早めが有利です(国税庁、2026年5月現在)。

② 空き家の3000万円特別控除(措置法35条)

亡くなった方が一人で住んでいた家を相続して売る場合、一定の要件を満たせば譲渡所得から最大3000万円を差し引ける特例です。1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられた家であることや、耐震基準を満たすか取り壊して売ることなどの条件があります。①と組み合わせられない場合もあるため、どちらが有利かは個別判断が必要です。

特例は要件が細かく、適用を間違えると後で税金を追加で求められることもあります。判断に迷ったら税理士に確認するのが安全です。

迷ったときの進め方|中立的な伴走者を持つ

ここまで読んで「自分のケースはどうなるのか」と感じた方も多いと思います。相続の売却は、登記(司法書士)・税金(税理士)・売却(不動産会社)と複数の専門家が関わるため、窓口がバラバラだと相続人が疲れてしまいます。

ROCKEDGEでは、査定から売却、税理士・司法書士との連携までを一つの窓口でご相談いただけます。特定の結論へ急がせることはせず、「売る・残す・貸す」のどれがご家族にとって納得できるかを中立的な立場で一緒に整理します。売り急がせたり不安をあおったりすることは、私たちの仕事ではありません。

なお、本記事は一般的な解説です。税額や特例の適用、登記の方法は個別の事情により異なります。具体的な判断は、税理士・司法書士などの専門家へご相談ください(2026年5月現在の情報にもとづきます)。

FAQ

(FAQ_JSON参照)


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よくある質問

亡くなった親の名義のままで、不動産を売ることはできますか?
できません。売買契約を結ぶには、売る人が所有者であることを公的に証明できる状態、つまり相続登記で名義を相続人へ変更しておく必要があります。2024年4月1日からは相続登記が義務化され、取得を知った日から原則3年以内の登記が求められます(2026年5月現在)。
相続人が3人いて実家を売りたいのですが、もめずに分けるには?
不動産を売って現金に換え、その代金を分ける『換価分割』が公平で、もめにくい方法です。現金は1円単位で分けられるためです。代表者1人の名義にして売り、後で分配することもあります。早い段階で中立的な専門家を間に入れると、感情面のしこりを防ぎやすくなります。
相続した家を売ると、どんな税金がかかりますか?
売却益(譲渡所得)が出ると所得税・住民税がかかります。相続不動産は亡くなった方が取得した日を引き継ぐため、長く所有されていた家なら長期譲渡所得(税率合計20.315%)が適用されることが多いです。利益が出なければ課税されません(2026年5月現在)。
取得費加算の特例はいつまでに売れば使えますか?
相続税を納めた人が、相続開始の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで(おおむね相続開始から3年10か月以内)に売却した場合に使えます。納めた相続税の一部を取得費に加算でき、譲渡所得税を軽減できます(措置法39条、2026年5月現在)。
空き家の3000万円特別控除は、どんな家でも使えますか?
使えるとは限りません。亡くなった方が一人で住んでいた家で、1981年5月31日以前に建てられたこと、耐震基準を満たすか取り壊して売ることなどの要件があります。要件が細かいため、適用できるかは税理士に確認するのが安全です(措置法35条、2026年5月現在)。

出典・参考

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