投資用マンション売却の譲渡所得税|減価償却・長期短期を解説

投資用1R・1LDKマンション売却時の譲渡所得税を解説。長期20.315%・短期39.63%の税率、保有中の減価償却による取得費の調整、損益通算の仕組みを、国税庁の根拠を示しながら整理します(2026年6月時点)。

結論

投資用マンションの売却益(譲渡所得)には、所有期間5年超で20.315%、5年以下で39.63%の譲渡所得税がかかります(2026年6月時点・復興特別所得税を含む)。所有期間は売却した年の1月1日時点で判定し、保有中の減価償却費の累計が取得費を減らすため、課税対象の利益が増える点に注意が必要です。

この記事でわかること

  • 投資用マンション売却時の譲渡所得の計算方法
  • 長期譲渡所得(20.315%)と短期譲渡所得(39.63%)の違いと5年の判定基準
  • 減価償却費の累計が取得費を減少させる仕組み
  • 居住用特例(3000万円控除など)が使えない理由
  • 損益通算の考え方と投資用不動産への適用範囲

譲渡所得の基本計算式

投資用不動産の売却で生じた利益は「分離課税の譲渡所得」として課税されます(所得税法33条・2026年6月時点)。計算式は次のとおりです。

譲渡所得 = 売却価格 ―(取得費 + 譲渡費用)

項目内容
売却価格実際に受け取った売買代金
取得費購入代金+購入時の仲介手数料等の付随費用 ―減価償却費の累計額(建物部分)
譲渡費用売却時の仲介手数料・印紙税・取り壊し費用等

この計算でプラスの値が出れば譲渡所得が生じ、課税対象となります。マイナスになれば譲渡損失です。


最重要:減価償却が取得費を下げる

投資用マンションを保有していた期間中、建物部分について減価償却費を経費として計上していた場合(または計上すべきだった場合)、その累計額が建物の取得費から差し引かれます(国税庁タックスアンサー No.3261・2026年6月時点)。

これは「税務上の取得費(帳簿価額)」と呼ばれるもので、購入価格をそのまま使えるわけではありません。

計算のイメージ

  • 購入価格のうち建物部分:2,000万円
  • 耐用年数(RC造・住宅用 47年)に基づく定額法での年間償却額:約42.5万円
  • 10年保有した場合の累計償却額:約425万円
  • 売却時の建物の税務上の取得費:2,000万円 ― 425万円 = 1,575万円

実際の土地・建物の按分や取得費の詳細は、購入時の売買契約書・重要事項説明書を確認し、必要に応じて税理士に相談してください。取得費がわからない場合の対応は「取得費がわからない場合の5%ルール」も参照してください。


長期譲渡と短期譲渡の税率(2026年6月時点)

不動産の譲渡所得税は「所有期間」によって税率が大きく異なります。

所有期間の区分判定基準所得税率住民税率合計税率
短期譲渡売却年の1月1日時点で5年以下30.63%(復興税込)9%39.63%
長期譲渡売却年の1月1日時点で5年超15.315%(復興税込)5%20.315%

※復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)は2013年から2037年まで課税(2026年6月時点)。

重要:1月1日基準 所有期間は「売却した年の1月1日時点」で判定します。例えば2020年6月に購入し2026年4月に売却した場合、2026年1月1日時点での所有期間は約5年7か月のため「長期」となります。しかし2020年6月購入・2025年10月売却なら2025年1月1日時点では5年に達しておらず「短期」です。詳細は「長期譲渡と短期譲渡の税率」もご確認ください。


居住用特例は原則使えない

居住用不動産の売却に認められる以下の特例は、賃貸用として利用していた投資用マンションには原則として適用されません(2026年6月時点)。

  • 3,000万円特別控除(租税特別措置法35条):自己居住用に限定
  • 所有期間10年超の軽減税率(同31条の3):自己居住用に限定
  • 買換え特例(同36条の2・36条の5等):要件に居住用が前提

これらは「マイホーム」すなわち自分が居住していた家屋の売却を対象とするものです。賃貸に出していた期間については、原則として居住用特例の適用はありません。


損益通算の範囲

投資用マンションの売却で譲渡損失(マイナス)が生じた場合の損益通算の扱いは以下のとおりです(2026年6月時点・国税庁の基準に基づく)。

  • 同年・同種の他の不動産譲渡所得との通算:可能
  • 給与所得や事業所得など他の所得との通算:原則として不可(投資用不動産の譲渡損失は「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算の特例(措置法41条の5)」の対象外)
  • 翌年以降への繰越控除:居住用特例の繰越控除制度(措置法41条の5の2等)も投資用不動産の損失には適用されない

なお、損益通算や繰越控除の適否は個別の事情・契約内容によって異なる場合があります。確定申告の前に税理士への確認を推奨します。損益通算の一般的な考え方は「不動産譲渡損失と損益通算」も参考にしてください。


確定申告の必要性

投資用マンションの売却で譲渡所得が生じた場合は、売却した年の翌年2月16日から3月15日までに確定申告が必要です。損失が生じた場合でも、同年に他の不動産譲渡所得があり通算する場合は申告が必要です。

確定申告の手続き全般については「不動産売却後の確定申告」をご参照ください。


売却の全体像はピラー記事へ

税金以外の売却プロセス(価格の決まり方・オーナーチェンジ vs 空室・売却の流れ)については「投資用ワンルーム・1LDKマンション売却の完全ガイド」をご覧ください。


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よくある質問

投資用ワンルームマンションを売ると税金はいくらかかりますか?
売却益(譲渡所得)に対し、所有期間が5年超なら20.315%(長期譲渡所得税率)、5年以下なら39.63%(短期譲渡所得税率)が適用されます(いずれも2026年6月時点・復興特別所得税を含む)。売却益がなければ税金は発生しませんが、取得費の計算に減価償却の調整が必要です。
投資用マンションに3000万円特別控除は使えますか?
原則として使えません。3000万円特別控除(租税特別措置法35条)は、自分が居住していたマイホームを売却した場合に適用される特例です。賃貸用として保有していた投資用マンションには適用されません。
減価償却で取得費が下がるとはどういう意味ですか?
投資用マンションでは、保有中に建物の減価償却費を経費として計上します。その累計額が建物の取得費から差し引かれるため、売却時の帳簿上の取得費(税務上の取得費)は購入価格より低くなります。結果として、課税対象の譲渡所得が増加します。
投資用マンションを売って損失が出た場合、税金はゼロですか?
譲渡損失が生じた場合は譲渡所得がゼロとなり、売却自体には課税されません。ただし、居住用不動産に認められるような他の所得との損益通算の特例(措置法41条の5等)は、投資用不動産の譲渡損失には原則適用されません。同年に売却した他の不動産譲渡所得との相殺のみが可能です。
所有期間5年の判定はどの日を起点にしますか?
不動産の譲渡所得税における所有期間の判定は、売却した年の1月1日時点で判断します。購入日から5年が経過していても、売却した年の1月1日時点で5年を超えていなければ短期譲渡に区分されます。

出典・参考

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