この記事でわかること
- 不動産売却の税率は所有期間で大きく変わり、長期譲渡なら20.315%、短期譲渡なら39.63%とほぼ2倍の差が出ること
- 所有期間は「売却した年の1月1日時点」で5年を超えているかどうかで判定されること
- マイホームを10年超所有した場合の軽減税率の特例(6,000万円以下の部分が14.21%)の使い方
- 3,000万円特別控除と10年超の軽減税率は併用できること
- 相続した不動産は、亡くなった方(被相続人)の取得日を引き継いで所有期間を判定できること
不動産を売ったときの税率は、所有期間が「売った年の1月1日時点で5年超」なら長期譲渡所得として20.315%、「5年以下」なら短期譲渡所得として39.63%が課税されます。この5年の境目を1日でも誤ると税負担がほぼ倍になるため、売却時期の見極めが何より重要です(2026年5月現在)。
先月、ご相談者様から「築古の戸建てを売りたいが、いつ売るのが得か」というご相談を受けました。詳しく所有期間を確認すると、購入が2021年3月。「もう5年経つから大丈夫ですよね」とおっしゃっていましたが、計算してみると2026年中の売却では短期譲渡に該当し、約400万円の利益に対して税額が長期より約77万円も増える見込みでした。あと1年待てば長期譲渡になる——この「1月1日の壁」をお伝えしたところ、大変驚かれていました。業界24年の経験上、この判定を勘違いされている方は本当に多いのです。
長期譲渡と短期譲渡の違いとは?税率はどれくらい変わる?
不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、その利益には所得税と住民税がかかります。この税率は、所有期間によって「長期譲渡所得」と「短期譲渡所得」の2つに分かれます。
Q: 長期と短期で税率はどれくらい違いますか? A: 長期譲渡は合計20.315%、短期譲渡は合計39.63%です。約2倍の差があります。
国税庁タックスアンサーNo.3208・No.3211に基づく内訳は次のとおりです。
| 区分 | 所有期間(売却年の1月1日時点) | 所得税 | 復興特別所得税込み所得税 | 住民税 | 合計税率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 15% | 15.315% | 5% | 20.315% |
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 30% | 30.63% | 9% | 39.63% |
※復興特別所得税は基準所得税額の2.1%で、2013年から2037年まで課されます。
たとえば譲渡所得(売却益)が1,000万円の場合、長期なら税額は約203万円、短期なら約396万円。同じ利益でも約193万円の差が生まれます。この差の大きさが、所有期間の判定がいかに重要かを物語っています。
所有期間「5年」の数え方:1月1日の壁とは?
ここが最も誤解の多いポイントです。所有期間は「取得日から売却日まで」を実際の年数で数えるのではありません。
Q: 所有期間はどう数えるのですか? A: 取得日から、売却した年の1月1日までの期間で数えます。実際に売る日ではありません。
具体例で見る「1月1日判定」
たとえば2021年3月1日に取得した不動産を考えます。
- 2026年中に売却 → 起算は「2026年1月1日」。この時点で所有期間は約4年10か月(5年以下)→ 短期譲渡(39.63%)
- 2027年中に売却 → 起算は「2027年1月1日」。この時点で所有期間は約5年10か月(5年超)→ 長期譲渡(20.315%)
実際の経過年数では2026年3月で「丸5年」を迎えますが、税法上はあくまで「売った年の1月1日」で判定するため、5年を超えるには結果的に取得から6年近く保有する必要が出てきます。「丸5年経ったから長期」と早合点して年内に売却し、想定外の高い税率を課されてしまうケースが後を絶ちません。売却を急がない事情であれば、年をまたぐだけで税負担が大きく変わる可能性があります。
マイホームを10年超所有したときの軽減税率の特例
ご自身が住んでいた(または住んでいた)マイホームを売る場合、所有期間が10年を超えると、長期譲渡よりさらに低い軽減税率が使えます(国税庁タックスアンサーNo.3305)。
Q: 10年超所有のマイホームの税率はいくらですか? A: 譲渡所得6,000万円以下の部分が14.21%(所得税10.21%+住民税4%)に軽減されます。
| 課税長期譲渡所得金額 | 所得税(復興特別所得税込み) | 住民税 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 6,000万円以下の部分 | 10.21% | 4% | 14.21% |
| 6,000万円超の部分 | 15.315% | 5% | 20.315% |
軽減税率の主な適用要件
国税庁が示す要件のうち、特に押さえておきたいのは次の点です。
- 自分が住んでいる(または住まなくなって3年後の年末までに売る)居住用の家屋であること
- 売った年の1月1日時点で家屋・敷地とも所有期間が10年超であること
- 配偶者・親子など特別の関係がある人への売却でないこと
- 前年・前々年にこの特例を受けていないこと
ここでも所有期間は「1月1日時点」で判定される点に注意が必要です。
3,000万円特別控除との併用はできる?
マイホームを売ったときは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける「3,000万円特別控除」があります(国税庁タックスアンサーNo.3302)。
Q: 3,000万円特別控除と10年超の軽減税率は同時に使えますか? A: はい、併用できます。まず3,000万円を控除し、残った金額に軽減税率を適用します。
たとえば居住用財産の譲渡所得が5,000万円・所有期間12年のケースでは、次のように計算します。
- 5,000万円 − 3,000万円(特別控除)= 2,000万円
- 2,000万円 × 14.21%(軽減税率)= 約284万円
3,000万円控除だけ、あるいは軽減税率だけを使う場合と比べ、両方を組み合わせることで税負担を大きく抑えられます。マイホームの売却では、この2つの特例を併用できるかどうかが手取り額を左右します。
相続した不動産の所有期間はどう判定する?
「親から相続したばかりの家を売ると、所有期間は数か月だから短期譲渡になるのでは」と不安に思われる方が多くいらっしゃいます。しかし、これは誤解です。
Q: 相続した不動産はいつから所有期間を数えますか? A: 亡くなった方(被相続人)がその不動産を取得した日を引き継いで数えます。
国税庁タックスアンサーNo.3270のとおり、相続や贈与で取得した不動産は「被相続人や贈与者の取得の時期がそのまま引き継がれます」。取得費(購入代金など)も同様に引き継がれます。
つまり、親が30年前に購入した実家を相続後すぐに売っても、所有期間は30年超とみなされ、長期譲渡(さらに条件を満たせば軽減税率)が適用される可能性が高いのです。相続不動産の売却では、被相続人の購入時期や購入金額がわかる売買契約書を探しておくことが、税額計算の大きな鍵になります。
なお、相続した空き家には別途「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」もあり、要件に当てはまれば3,000万円控除が使える場合があります。どの特例が使えるかはご家庭の事情で大きく変わるため、ROCKEDGEの無料相談では、所有期間の判定から使える特例の整理まで、お客様の状況に合わせて一緒に確認しています。
まとめ:売却前に必ず所有期間を確認する
不動産売却の税率は、所有期間が「売った年の1月1日時点で5年超か否か」で20.315%と39.63%に分かれ、その差は利益の約2割にも及びます。マイホームなら10年超で14.21%の軽減税率、3,000万円特別控除との併用、相続なら被相続人の取得日引き継ぎなど、知っているかどうかで手取りが大きく変わる仕組みが用意されています。
税額の計算や特例の適用可否は、取得日・居住状況・相続の経緯など個別の事情により異なります。判断を誤ると数十万円〜数百万円単位の差が生じることもあるため、詳細は税理士などの専門家へご相談ください。売却のタイミングや進め方も含めてお悩みの場合は、ROCKEDGEの無料相談でお気軽にご相談いただければと思います。
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