この記事でわかること
- 専属専任媒介・専任媒介・一般媒介という3種類の媒介契約の違いと、それぞれの定義
- レインズ(指定流通機構)への登録義務と、業者からの業務報告頻度の差(宅地建物取引業法34条の2)
- 自分で買主を見つける「自己発見取引」ができる契約・できない契約という重要な分かれ目
- 契約期間の上限(専任系は3か月以内)と更新の考え方
- 売主の状況・物件タイプ別の、後悔しない選び方
不動産の売却を仲介に頼むときに結ぶのが「媒介契約」です。結論から言うと、専属専任媒介は最も拘束が強く報告も手厚い、一般媒介は複数社に頼めて自由度が高い、専任媒介はその中間で、急ぎたい物件は専任系、人気が見込める物件は一般、と状況で使い分けるのが基本です(2026年5月現在)。
先月、ご相談者様から「専属専任で契約したら、知人が買いたいと言ってくれたのに業者を通さないと売れないと言われた。本当か」というご相談を受けました。これはまさに媒介契約の種類による違いが原因です。契約の種類を知らずにハンコを押すと、こうした「想定外」が後からトラブルになります。本記事で、契約前に必ず押さえてほしい3類型の違いを整理します。
媒介契約とは? なぜ3種類あるのか
媒介契約とは、不動産の売却(または購入)を不動産会社に依頼するときに結ぶ契約のことです。宅地建物取引業法34条の2に基づき、業者は依頼を受けたら遅滞なく契約内容を書面(電子書面可)で交付する義務があります。
3種類が用意されているのは、「売主の自由度」と「業者の責任の重さ」がトレードオフの関係にあるからです。1社に絞って手厚く動いてもらうのか、複数社を競わせて広く買主を探すのか――売主が選べるようになっています。
| 比較項目 | 専属専任媒介 | 専任媒介 | 一般媒介 |
|---|---|---|---|
| 依頼できる会社数 | 1社のみ | 1社のみ | 複数社OK |
| 自己発見取引 | 不可 | 可 | 可 |
| レインズ登録義務 | 媒介契約から5営業日以内 | 7営業日以内 | 義務なし |
| 業務報告の頻度 | 1週間に1回以上 | 2週間に1回以上 | 義務なし |
| 契約期間の上限 | 3か月以内 | 3か月以内 | 法律上の上限なし※ |
※一般媒介は法律上の期間上限の定めはありませんが、行政指導により3か月を標準とする運用が一般的です(2026年5月現在)。
専属専任媒介・専任媒介・一般媒介の定義
専属専任媒介契約
依頼できるのは1社のみで、さらに自己発見取引(売主自身が見つけた相手との直接契約)も認められない、最も拘束力の強い契約です。その代わり、業者は最も手厚く動く義務を負い、レインズへの登録は5営業日以内、業務処理状況の報告は1週間に1回以上と定められています。
専任媒介契約
依頼先は1社のみですが、自己発見取引は認められる点が専属専任との決定的な差です。レインズ登録は7営業日以内、報告は2週間に1回以上です。「1社に任せたいが、親戚や知人が買ってくれる可能性も残したい」という方に向きます。
一般媒介契約
複数社に同時に依頼でき、自己発見取引も自由な、最も拘束の緩い契約です。レインズ登録義務も報告義務もありません。複数社を競わせられる反面、どの社も「他社で決まるかも」と本腰を入れにくい側面もあります。
自己発見取引の可否という見落としがちな差
Q: 自分で買主を見つけたら、仲介手数料を払わずに直接売れますか?
A: 専任媒介・一般媒介なら可能ですが、専属専任媒介では認められません。専属専任の場合、たとえ売主が見つけた相手であっても、契約した業者を通して取引する必要があります。冒頭のご相談者様のケースがまさにこれでした。
近所付き合いや親族間で「いずれ買いたい」という話が少しでもある物件は、安易に専属専任を選ぶと後悔しかねません。この一点だけでも、契約前に確認する価値があります。
レインズ登録と業務報告の違い(宅建業法34条の2)
レインズ(REINS/指定流通機構)は、不動産会社だけが見られる物件情報のネットワークです。ここに登録されると全国の業者に物件が共有され、買主が見つかりやすくなります。
- 専属専任:5営業日以内に登録/週1回以上の報告
- 専任:7営業日以内に登録/2週間に1回以上の報告
- 一般:登録義務・報告義務なし
「売れているのか売れていないのか分からない」という不安を避けたいなら、報告義務のある専任系が安心です。一般媒介でも、希望すれば任意で登録・報告してくれる業者は多いので、契約時に確認しましょう(2026年5月現在)。
契約期間と更新のルール
専任媒介・専属専任媒介の契約期間は、いずれも3か月以内と法律で定められています。3か月を超える契約はできず、超える定めをしても3か月に短縮されます。更新する場合は、売主からの申出が必要で、自動更新は認められていません。
一般媒介には法律上の期間上限はありませんが、標準的には3か月での運用が一般的です。いずれの場合も、期間満了時に「成果に納得できなければ他社に切り替える」という見直しのタイミングと考えると分かりやすいでしょう。
売主の状況別・後悔しない選び方
- 早く確実に売りたい/築古・空き家など手間のかかる物件:報告が手厚く業者が本腰を入れやすい専属専任または専任
- 駅近・築浅など人気が見込め、複数社を競わせたい:一般媒介で広く露出
- 親族・知人に売る可能性が少しでもある:自己発見取引ができる専任または一般(専属専任は避ける)
- 進捗をこまめに知りたい/初めての売却で不安が強い:報告義務が最も厚い専属専任
私が実務で感じるのは、「契約の種類選び」よりも「担当者との相性と販売戦略」のほうが結果を左右する、ということです。どの契約が自分の物件と事情に合うか迷ったら、契約を結ぶ前の段階で、ROCKEDGEの無料相談で物件の条件を整理されることをおすすめします。種類ごとのメリット・デメリットを、ご自身のケースに当てはめて確認できます。
なお、媒介契約の内容や最適な選び方は、物件の状態・地域・売主のご事情により異なります。具体的な判断にあたっては、個別の事情を踏まえて専門家へご相談ください。
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