仲介手数料の上限はいくら?2024年改正の低廉空家特例まで解説

不動産の仲介手数料の上限を解説。売買の速算式(価格×3%+6万円+消費税)、2024年7月施行の低廉な空家等の特例(上限33万円)、賃貸の上限と承諾要件、支払時期と二重取りの違法性まで(2026年5月現在)。

この記事でわかること

  • 宅建業法で定められた仲介手数料の「上限」(売買・賃貸でルールが異なる)
  • 売買の速算式「売買価格×3%+6万円+消費税」が成り立つ仕組みと根拠
  • 2024年7月施行の「低廉な空家等の特例」で上限が33万円まで認められた点
  • 賃貸の手数料上限(原則賃料1か月分+消費税)と、依頼者の「承諾」が必要なケース
  • 手数料の支払時期の目安と、売主・買主の双方から限度を超えて受け取る「二重取り」が違法である理由

不動産の仲介手数料には宅建業法による明確な上限があり、売買では「価格×3%+6万円+消費税(400万円超の場合)」、賃貸では「原則として賃料1か月分+消費税」が基本です。2024年7月からは800万円以下の空家等で上限33万円までの特例も加わりました(2026年5月現在)。

先月、ご相談者様から「親から相続した地方の空き家を400万円で売りたいが、仲介業者から『調査費がかかるので手数料は40万円』と言われた。これは正しいのか」というご相談を受けました。結論から申し上げると、通常の売買であれば400万円の物件の手数料上限は約19.8万円(税込)ですが、後述する空家特例の対象であれば最大33万円まで認められる場合があり、金額の妥当性は「特例の対象かどうか」で大きく変わります。だからこそ、まず上限の計算ルールを正しく知ることが、ご自身を守る第一歩になります。

仲介手数料の上限は誰が決めている?

不動産の仲介手数料(媒介報酬)は、宅地建物取引業者(宅建業者)が自由に決められるものではありません。宅地建物取引業法第46条により、国土交通大臣が定める額を超えて報酬を受け取ることが禁じられています。具体的な上限は国土交通省の告示(いわゆる「報酬告示」)で定められており、全国一律のルールです。

業界24年の実務経験から申し上げると、上限は「これ以上は受け取れない」という天井であって、「必ずこの金額を払う」という意味ではありません。理論上は値引き交渉も可能ですが、実務では上限額が請求されるのが一般的です。

ポイントは次の2つです。

  • 上限を超える請求は宅建業法違反であり、監督処分の対象になり得る
  • 上限の計算式は「売買」と「賃貸」でまったく異なる

売買の仲介手数料の上限はいくら?

売買の媒介報酬は、売買価格(消費税抜き)を3つの区分に分けて計算します。

売買価格の区分上限の割合
200万円以下の部分5%
200万円超〜400万円以下の部分4%
400万円を超える部分3%

各区分の合計に、別途消費税が加算されます。

速算式「価格×3%+6万円」の根拠

物件価格が400万円を超える場合、区分ごとの計算を簡略化したものが速算式です。

  • 200万円以下の部分: 200万円×5% = 10万円(区分計算より+2%=+4万円の差)
  • 200万円超〜400万円の部分: 200万円×4% = 8万円(区分計算より+1%=+2万円の差)

この「+4万円+2万円=6万円」を全体に3%を掛けた額へ足し戻すと、結果が一致します。これが「売買価格×3%+6万円+消費税」という速算式の正体です。

例えば3,000万円の物件なら、3,000万円×3%+6万円=96万円、消費税10%を加えて105万6,000円が上限となります。

2024年7月施行「低廉な空家等の特例」とは?

価格の低い空き家や土地は、現地調査や境界確認などの手間に対して通常の手数料では業者の採算が合わず、取引が敬遠されがちでした。そこで設けられたのが「低廉な空家等の特例」です。

2024年7月1日に施行された改正により、内容が大きく拡充されました(2026年5月現在)。

  • 対象となる物件価格の上限が、従来の「400万円以下」から「800万円以下」へ引き上げ
  • 受け取れる報酬の上限が「30万円+消費税(=33万円)」までに
  • 従来は売主側からのみだった特例が、買主側からも同様に受け取れるように

つまり冒頭のご相談のように400万円の空き家でも、この特例の対象であれば、通常上限の約19.8万円ではなく最大33万円までの手数料が適法となる場合があります。ただし、特例を適用するには、媒介契約を結ぶ前にあらかじめ依頼者へ説明し、合意しておくことが前提です。「後出し」で高額請求された場合は、その妥当性を確認する必要があります。

賃貸の仲介手数料の上限と「承諾」の要件は?

賃貸(居住用建物の貸借)の媒介報酬は、売買とは別のルールです。

  • 貸主・借主の双方から受け取れる合計額の上限は、賃料の1か月分+消費税
  • 居住用建物では、依頼者の一方から受け取れるのは原則として賃料の0.5か月分+消費税まで

ここで重要なのが「承諾」です。借主から賃料1か月分を受け取るには、媒介の依頼を受けるにあたって、その借主の承諾を得ていることが原則の要件です。承諾のタイミングは「依頼を受けるにあたって」とされており、契約直前にまとめて承諾させるような運用には注意が必要です。

Q: 「仲介手数料は家賃1か月分が当たり前」と言われましたが、断れますか? A: 居住用建物では、承諾がなければ借主負担の上限は0.5か月分です。承諾の有無や時期について確認する余地はあります。ただし慣行として1か月分の地域も多く、まずは内訳の説明を求めるのが現実的です。

手数料の支払時期と「二重取り」の違法性

仲介手数料は「成功報酬」が原則です。したがって、媒介によって売買契約・賃貸借契約が成立して初めて請求できる費用です。支払時期に法律上の固定の定めはありませんが、実務では売買の場合、契約時に半額・引渡し時に残額、賃貸では契約時に一括、という分け方が一般的です。

注意したいのが「二重取り」です。宅建業者が受け取れるのは、あくまで定められた上限額の範囲内です。例えば売主・買主の双方を1社が仲介する「両手仲介」自体は違法ではありませんが、その場合でも売主から上限額・買主から上限額をそれぞれ受け取れるという意味であり、一方から上限を超えて受け取ることはできません。また、上限額に加えて「事務手数料」「書類作成費」などの名目で別途上乗せ請求することは、原則として認められていません(依頼者の依頼に基づく特別な広告費等、例外を除く)。

ROCKEDGEの無料相談では、提示された手数料の見積りが上限の範囲内か、特例の対象になり得るか、名目別の上乗せがないかを、契約前のタイミングで一緒に確認しています。「サインする前に金額の根拠を知りたい」という段階こそ、最もお役に立てる場面です。

なお、手数料の取り扱いは物件の種類や契約形態、地域の慣行によって個別の事情が異なります。具体的な金額や特例の適用可否については、契約前に宅地建物取引業者や専門家へご相談ください。


不動産トラブルのお悩みはROCKEDGEの無料相談へ

ROCKEDGEでは不動産トラブルに関するご相談を承っています。「何から手をつければいいか分からない」という段階からお気軽にご連絡ください。業界24年の経験で、あなたの状況に合った選択肢を中立的な立場でご提案します。

対応エリア: 東京・埼玉・神奈川・千葉(1都3県)

無料相談はこちら → お問い合わせフォーム

よくある質問

仲介手数料の上限を超える金額を請求されたら、支払う義務はありますか?
宅建業法上、定められた上限を超える報酬の受領は禁止されており、超過分を支払う義務は原則としてありません。請求された場合は内訳の説明を求め、必要に応じて宅地建物取引業の監督部署や専門家へご相談ください。
400万円の空き家ですが、手数料の上限は19.8万円ですか、それとも33万円ですか?
通常の売買であれば400万円の上限は約19.8万円(税込)ですが、2024年7月施行の低廉な空家等の特例(800万円以下が対象)に該当し、事前の説明と合意がある場合は最大33万円(税込)までが認められることがあります。特例の対象かどうかで結論が変わります。
賃貸で家賃1か月分の手数料を請求されました。これは違法ですか?
居住用建物では、双方から受け取れる合計が賃料1か月分+消費税までで、一方からは原則0.5か月分が上限です。ただし依頼を受けるにあたって借主の承諾があれば1か月分まで受領できます。承諾の有無や時期を確認することが判断のポイントです。
契約が成立しなかった場合でも仲介手数料を払う必要がありますか?
仲介手数料は成功報酬が原則のため、媒介によって売買契約や賃貸借契約が成立しなかった場合、原則として支払い義務は生じません。ただし依頼者の依頼に基づく特別な広告費など、例外的に実費が請求される場合があります。
手数料とは別に「事務手数料」「書類作成費」を請求されました。払うべきですか?
定められた上限額には通常の媒介に伴う費用が含まれており、別名目での上乗せ請求は原則として認められていません。依頼者が特別に依頼した広告費など例外を除き、上乗せ分の根拠の説明を求めることをおすすめします。

出典・参考

関連記事

媒介契約3種類の違いと選び方、専属専任・専任・一般を比較

媒介契約3種類の違いと選び方、専属専任・専任・一般を比較

専属専任・専任・一般媒介の違いを比較。レインズ登録義務や業務報告頻度(宅建業法34条の2)、自己発見取引の可否、契約期間3か月の上限まで、売主の状況別の選び方を業界24年の視点で解説します。

仲介手数料の値引き交渉:上限規定の本質と妥当な落とし所

仲介手数料の値引き交渉:上限規定の本質と妥当な落とし所

売買仲介手数料は『3%+6万円』が上限であり下限はありません。値引き交渉の実務・業者側の事情・落とし所を実例ベースで解説します。

ROCKEDGE

REINSで自分の物件が公開されているか確認する方法

専任媒介契約を結んだ売主が、REINSへの物件登録を自分で確認する方法を解説。登録証明書の受け取り方、売主専用URLでの確認手順、囲い込みの見分け方まで宅建業法の条文とともに詳しく紹介します。

媒介契約3種類の違い(一般・専任・専属専任)と選び方

媒介契約3種類の違い(一般・専任・専属専任)と選び方

売買仲介の媒介契約には3種類あります。レインズ登録義務・他社依頼可否・自己発見取引の可否など実務的な違いと、売主にとっての選び方を解説します。

LINEで相談