道路の拡幅などの公共事業で土地や建物を買い取られたときは、譲渡所得から最高5,000万円を差し引ける特別控除が使えます

道路の拡幅や公共施設の整備のために、自分の土地や建物の買取りを持ちかけられることがあります。このとき売った利益(譲渡所得)から最高5,000万円を差し引ける特別控除があり、税金の負担が大きく変わります。ただし「買取りの申出があった日から6か月を経過した日までに売る」という期限があるため、話が来た時点で段取りを考えておく必要があります。

何が変わったのか

公共事業のために土地や建物を買い取られたときは、譲渡所得から最高5,000万円を特別に差し引ける制度が用意されています。使うには3つの条件があります。ひとつは、売った資産が固定資産であること。ふたつめは、公共事業の施行者から最初に買取りの申出を受けた本人が売っていること。みっつめは、その申出があった日から6か月を経過した日までに売ることです。

なお、公共事業で買い取られたときには、代わりの資産(代替資産)を買って税金を先に延ばす特例もあります。この繰延べの特例と5,000万円の特別控除は、どちらか一方だけを選ぶ形になります。両方を重ねて使うことはできません。

首都圏の住まいへの影響

東京・埼玉・神奈川・千葉では、道路の拡幅などの公共事業にあたって自宅や所有地の一部が対象になることがあります。売る側からすると「公共事業だから仕方ない」と受け身になりがちですが、税金の面では上の特別控除を使えるかどうかで手元に残るお金が変わります。

実務で気をつけたいのは、期限の短さです。買取りの申出があった日から6か月を経過した日まで、という区切りがあるため、家族で相談したり、名義が複数人になっている場合の話し合いをしたりしているうちに時間が過ぎてしまうことがあります。相続した不動産で名義の整理が済んでいない場合は、売る手続きそのものに時間がかかることもあります。申出を受けた段階で、期限から逆算して動き出すのが安全です。

また、「最初に買取りの申出を受けた本人が売っていること」が条件に入っています。誰が申出を受け、誰が売主になるのかは、個別の事情で判断が分かれるところです。自分のケースが当てはまるかどうかは、一次ソースを確認したうえで税理士に相談してください。

いつ・何を確認すればいいか

  • 買取りの申出を受けた日付を記録する。 期限は「申出があった日から6か月を経過した日まで」です。書面を受け取った日と内容を必ず保管してください。
  • 売った資産が固定資産にあたるか確認する。 特別控除の条件のひとつです。
  • 特別控除か、代替資産の繰延べか、どちらを選ぶかを早めに検討する。 併用はできず、選択になります。どちらが有利かは個別の事情で変わるので、税理士に相談してください。
  • 最新の要件・手続き・必要書類は一次ソースで確認する。 国税庁 No.3552「収用等により土地建物を売ったときの特例」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3552.htm )をご覧ください。制度の細かい取り扱いは変わることがあるため、この記事だけで判断せず、一次ソースと専門家の確認を合わせてください。

よくある質問

Q. 控除される金額はいくらまでですか。 A. 譲渡所得から最高5,000万円までを特別に差し引けます。実際にいくら差し引けるか、税額がどうなるかは個別の計算になりますので、税理士にご確認ください。

Q. 代わりの土地を買って税金を先に延ばす特例と、両方使えますか。 A. 使えません。代替資産を取得して課税を繰り延べる特例と5,000万円の特別控除は、どちらか一方だけを選ぶ形になります。どちらを選ぶべきかは事情によって変わるため、決める前に税理士へご相談ください。

Q. 申出を受けてから1年ほど経ってしまいました。まだ間に合いますか。 A. 特別控除の要件は、買取りの申出があった日から6か月を経過した日までに売ることです。この期限を過ぎている場合の扱いや、他に使える方法があるかどうかは、この記事の範囲では申し上げられません。一次ソースを確認のうえ、税理士にご相談ください。