相続した実家は「親が持っていた期間」を引き継ぎます——すぐ売っても短期譲渡にはなりません

親から相続した実家を売ろうとするとき、「買ってすぐ売ると税金が高いのでは」と心配される方は少なくありません。けれども不動産を売ったときの税金は、自分が相続してからの年数ではなく、親が持っていた期間から数えます。東京・埼玉・神奈川・千葉で実家を相続し、売却を考えている方に関わる話です。

何が変わったのか

不動産を売ったときの利益(譲渡所得)は、売った年の1月1日の時点で所有期間が5年を超えているかどうかで二つに分かれます。5年を超える「長期」は所得税15%・住民税5%、5年以下の「短期」は所得税30%・住民税9%で、税率がおよそ2倍ちがいます。

ここで大事なのが期間の数え方です。国税庁のタックスアンサーNo.3202によると、相続や贈与で受け取った資産は、原則として亡くなった方(被相続人)や贈与した方が取得した日から所有期間を計算します。つまり、期間の起算点は相続した日ではなく、親が買った日です。

そのため、親が長く住んでいた実家であれば、相続してすぐに売っても短期譲渡にはあたりません。「相続したばかりだから短期で高い税率になる」という心配は、多くの場合あてはまらないことになります。

首都圏の住まいへの影響

東京・埼玉・神奈川・千葉では、実家を相続したものの誰も住まないまま維持費だけがかかる、というご相談が増えています。「短期譲渡になるのを避けるために5年待とう」と考えて空き家のまま置いておくと、その間の固定資産税・管理の手間・建物の傷みが積み重なります。

けれども、上のとおり所有期間は親の取得日から数えるため、待つこと自体に税率上の意味がないケースが多くあります。判断を先延ばしにする理由が一つ減る、という受け止め方ができます。

ただし、税率の区分はあくまで「売った年の1月1日時点で5年を超えるか」で決まります。親がいつその家を取得したのかがはっきりしないと、この判定ができません。登記簿や売買契約書など、取得日が分かる書類を早めに探しておくことが、首都圏で売却を考える方にとって実務的に一番効きます。

いつ・何を確認すればいいか

  • 親(被相続人)がその家をいつ取得したかを確認する。 登記事項証明書や当時の売買契約書が手がかりになります。書類が見つからないときは、司法書士や弁護士にご相談ください。
  • 売る年の1月1日時点で、その取得日から5年を超えているかを数える。 売った日ではなく「売った年の1月1日」が基準です。
  • 実際の税額や申告方法は税理士にご確認ください。 ここで紹介したのは税率の区分と所有期間の数え方だけです。個別の計算や使える特例の有無は、税務の専門家の領域です。
  • 最新の内容は一次ソースでご確認ください。 国税庁 タックスアンサー No.3202(譲渡所得の計算のしかた(分離課税))https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3202.htm

よくある質問

Q. 相続してから1年で売ったら、短期譲渡の高い税率になりますか。 A. 国税庁No.3202によると、相続で取得した資産は原則として被相続人が取得した日から所有期間を計算します。親が長く所有していた実家であれば、相続後すぐに売っても短期にはあたりません。ご自身のケースについては税理士にご確認ください。

Q. 長期と短期で、税率はどれくらい違いますか。 A. 長期は所得税15%・住民税5%、短期は所得税30%・住民税9%で、およそ2倍の差があります。

Q. 5年を超えているかどうかは、いつの時点で数えるのですか。 A. 売った年の1月1日の時点で、所有期間が5年を超えているかどうかで区分が決まります。売った日そのものではない点にご注意ください。