共有私道の補修は、共有者ひとりでも工事できます
実家の前の道が「共有私道」になっていて、へこんだり割れたりしても直せない——そんな悩みは珍しくありません。共有者全員の同意が必要だと思い込み、連絡のつかない人がいるために何年も放置されてきたケースがあります。法務省は2022年6月7日に「所有者不明私道への対応ガイドライン」を第2版へ改訂し、どんな工事にどこまでの同意が要るのかを整理しました。
何が変わったのか
このガイドラインは、私道の工事を「どの種類の行為にあたるか」で仕分けして考えます。第2版では全37事例について、必要な同意の範囲が整理されました。たとえば、陥没したアスファルトを元の状態に戻す補修は「保存行為」にあたり、共有者が単独で行えます。一方、もともと砂利道だったところを新しく舗装する場合は、持分の価格の過半数で決められます。つまり「全員の同意がなければ何もできない」という前提が、実は正しくない場面があるということです。
首都圏の住まいへの影響
東京・埼玉・神奈川・千葉には、建物が建てられた当時のまま共有名義で残っている私道が数多くあります。相続が重なるうちに共有者が増え、なかには連絡先の分からない人が混じっていることもあります。今回のガイドラインの整理は、そうした状況でも「今の道の状態を保つための補修」であれば、一人で着手できる道があることを示しています。ただし、目の前の工事が保存行為にあたるのか、それとも過半数の同意が要る行為なのかは、個別の状況によって判断が分かれます。工事の内容と私道の持分関係を確認したうえで進めてください。
いつ・何を確認すればいいか
- 私道の登記を取り寄せ、自分の持分と共有者が何人いるかを確認する
- 予定している工事が「元に戻す補修」なのか「新しく作るもの」なのかを整理する(前者は単独、後者は持分の価格の過半数)
- 法務省のガイドライン第2版の該当事例を確認する(全37事例が掲載されています)
- 判断に迷う場合や、共有者に連絡がつかない場合は、一次ソースにあたったうえで司法書士・弁護士にご相談を。最新の内容は必ず一次ソースでご確認ください
一次ソース: 法務省「所有者不明私道への対応ガイドライン(第2版)」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00280.html
よくある質問
Q1. 共有者の一人と連絡が取れません。それでも補修できますか。 A. 陥没したアスファルトを元に戻すような補修は保存行為にあたり、共有者が単独で行えるとガイドラインは整理しています。ただし、その工事が保存行為にあたるかどうかの判断は個別の事情によります。ガイドラインの該当事例をご確認のうえ、必要に応じて弁護士・司法書士にご相談ください。
Q2. 砂利道を舗装したいのですが、これも一人でできますか。 A. いいえ。砂利道を新しく舗装することは、持分の価格の過半数で決める行為として整理されています。単独ではできませんが、全員の同意までは求められていません。
Q3. ガイドラインにはどのくらいの事例が載っていますか。 A. 第2版では全37事例について、必要な同意の範囲が整理されています。ご自身のケースに近いものがあるか、法務省のページでご確認ください。