実家に借金があるか分からないときは、相続財産の範囲までで債務を引き継ぐ「限定承認」という選択肢があります

親が亡くなって実家を相続することになったものの、借入やローンがどれくらい残っているのか分からない——そんなときに使えるのが限定承認です。財産が残る可能性もあるけれど、借金のほうが多いかもしれない。そのどちらとも言い切れない状態の方に関係する制度です。ただし、相続人全員で足並みをそろえる必要があり、期限も限られています。

何が変わったのか

限定承認は、相続によって得た財産の限度で、亡くなった方(被相続人)の債務を受け継ぐ制度です。裁判所の説明では、被相続人の債務がどの程度あるか不明で、なおかつ財産が残る可能性もある場合などに使うものとされています。つまり「全部受け取る(単純承認)」か「全部放棄する」かの二択ではない、中間的な選び方だと考えるとイメージしやすいと思います。

手続きは、家庭裁判所への「申述」というかたちで行います。特徴的なのは、相続人が全員そろって共同で申し立てなければならない点です。誰か一人だけが単独で限定承認を選ぶことはできません。費用は収入印紙800円分です。

首都圏の住まいへの影響

東京・埼玉・神奈川・千葉に実家がある方にとって、まず押さえておきたいのは申し立て先です。申述先は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所であり、不動産のある場所を基準に決まるわけではありません。親の住まいと実家の物件所在地が別の県にまたがっているケースは首都圏では珍しくないので、ここは確認しておく価値があります。

もうひとつは「相続人全員が共同して行う」という要件です。首都圏では、きょうだいがそれぞれ別の市区に住んでいたり、遠方に出ていたりすることも多いはずです。全員に連絡を取り、意思を確認し、そろって申し立てる——この調整には時間がかかります。しかも期限は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です。「借金の全体像が見えないまま数か月が過ぎてしまった」という状態を避けるには、早い段階で家族間の共有を始めることが実務的には重要になります。

いつ・何を確認すればいいか

  • 期限を起点から数える:申述は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です。まず、その起点がいつだったかを家族で確認してください
  • 申し立て先を確認する:被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。実家の所在地ではありません
  • 相続人が誰かを洗い出す:全員が共同して申述する必要があるため、連絡の取れていない相続人がいないかを早めに確認しておきます
  • 手続きの詳細・必要書類・最新の運用は一次ソースで確認する:裁判所のページ(相続の限定承認の申述)をご覧いただくか、具体的な進め方は弁護士・司法書士にご相談ください。税金に関わる部分は税理士にご確認ください

よくある質問

Q. 借金がいくらあるか分からないのですが、それでも使えますか。 A. はい、裁判所の説明では、被相続人の債務がどの程度あるか不明で、かつ財産が残る可能性もある場合などに用いる制度とされています。金額が確定していないこと自体は、限定承認を検討する理由になりえます。ただし個別の判断は専門家にご相談ください。

Q. きょうだいのうち私だけが限定承認を選ぶことはできますか。 A. できません。限定承認の申述は、相続人全員が共同して行う必要があります。一人でも同意が得られない場合は、別の対応を検討することになりますので、弁護士・司法書士にご相談ください。

Q. 費用はどれくらいかかりますか。 A. 裁判所の案内では、収入印紙800円分とされています。これ以外の実費や専門家に依頼した場合の費用については、最新の情報を一次ソースでご確認いただくか、依頼先にお問い合わせください。