特定空家・管理不全空家に指定されると何が起きる?固定資産税6倍のリスク

特定空家・管理不全空家に勧告されると住宅用地特例が外れ、土地の固定資産税が最大6倍に。2023年12月施行の改正空家法、助言→勧告→命令→代執行の流れと回避策を、業界24年のコンサルタントが解説します(2026年5月現在)。

この記事でわかること

  • 「特定空家」と「管理不全空家」に指定されると何が起きるのか(2023年改正で何が変わったか)
  • なぜ固定資産税が「最大6倍」になるのか、その計算の仕組み
  • 助言・指導 → 勧告 → 命令 → 行政代執行という行政措置の流れと、過料などのペナルティ
  • 指定を回避するための「管理・活用・売却」の具体的な選択肢
  • いま何から手をつければいいのか、判断の優先順位

結論を先に申し上げます。 空き家が「勧告」を受けると住宅用地特例が外れ、土地の固定資産税が最大6倍になります。2023年改正で対象が「管理不全空家」まで広がったため、放置のコストは確実に上がりました(2026年5月現在)。

先月、ご相談者様から実際にこんなご相談を受けました。「親から相続した実家を5年ほど空き家のままにしていたら、市役所から『助言』という通知が届いた。何もしなくても税金はずっと同じだと思っていたのに、固定資産税が跳ね上がると言われて怖くなった」というものでした。通知の段階としてはまだ初期で、慌てる必要はないものの、放置を続ければ税負担が大きく変わる入り口に立っている――という状況でした。私が業界に入って24年、こうした「気づいたら手遅れ」のパターンを何度も見てきましたので、まず仕組みを正確に理解していただくことが第一歩だとお伝えしています。

「特定空家」と「管理不全空家」とは?2023年改正で何が変わった?

空き家への行政の関与は、空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法) に基づいています。この法律は2023年に改正され、改正法は2023年12月13日に施行されました。

このとき新しく設けられたのが「管理不全空家等」という区分です。従来の「特定空家等」よりも一段階手前の状態を指します。

区分状態のイメージ
管理不全空家等そのまま放置すれば特定空家等になるおそれがある状態(窓ガラスの破損、雑草の繁茂など)
特定空家等倒壊など著しく保安上危険、著しく衛生上有害、景観を損なう、周辺の生活環境を著しく阻害するおそれがある状態

改正のポイントは、「特定空家になってから」では対応が遅いため、その前段階から行政が関与できるようにした点にあります。つまり、これまでセーフだった状態の空き家も、行政指導の対象になり得るということです。

Q:特定空家・管理不全空家に指定されると、なぜ固定資産税が「最大6倍」になるの?

A:「住宅用地特例」という税の軽減措置が外れるからです。

土地の上に住宅が建っていると、固定資産税には「住宅用地特例」が適用され、課税標準が大きく軽減されています。

  • 小規模住宅用地(1戸あたり200㎡以下の部分):固定資産税の課税標準が 6分の1、都市計画税が3分の1
  • 一般住宅用地(200㎡を超える部分):固定資産税が3分の1、都市計画税が3分の2

問題は、特定空家等または管理不全空家等として「勧告」を受けると、この住宅用地特例の対象から除外される点です。小規模住宅用地で考えると、課税標準が「6分の1」から「1」に戻るため、理論上は最大で約6倍になる計算です。

ここで重要なのは、特例が外れるのは「勧告」を受けた段階からだということです。最初の「助言・指導」の通知が来た時点では、まだ税額は変わりません。だからこそ、初期の通知が届いたときが動き出すべきタイミングなのです。

指定されると何が起きる?行政措置の4段階

空家法に基づく行政の措置は、いきなり強制執行に進むわけではなく、段階を踏んで進みます。

  1. 助言・指導:まずは口頭または書面で改善をうながす最初の段階。この時点では税の特例は外れません。
  2. 勧告:助言・指導で改善されない場合に行われます。この勧告を受けると住宅用地特例が外れ、固定資産税が上がります。
  3. 命令:勧告にも従わない場合、改善が義務として命じられます。正当な理由なく命令に従わないと、50万円以下の過料の対象になり得ます。
  4. 行政代執行:命令にも応じない場合、行政が所有者に代わって解体・撤去などを行い、その費用は所有者に請求されます。

つまり、放置を続けるほど「税金が上がる」「過料を科される」「解体費用を請求される」とリスクが積み上がっていく構造になっています。最初の通知ほど軽く、後になるほど重くなるのです。

指定を回避するには?「管理・活用・売却」3つの選択肢

では、どうすれば指定や勧告を避けられるのでしょうか。大きく3つの方向があります。

1. 管理する(持ち続ける場合)

  • 定期的な通風・換気、雑草の除去、屋根や外壁の点検
  • 遠方で通えない場合は、空き家管理を代行するサービスの利用を検討
  • 「管理不全空家」の指定理由の多くは、こうした日常管理の欠如です。費用をかけずにできる対策から始めるのが現実的です。

2. 活用する

  • 賃貸に出す、リフォームして住む、地域の空き家バンクへの登録などを検討
  • 立地によっては需要があり、収益化できる場合もあります(ただし改修費とのバランス確認が必須)。

3. 売却する

  • 維持も活用も難しい場合、早めの売却が結果的に負担を最小化することが多いです。
  • 建物の状態によっては、更地にせず「古家付き土地」として売る選択肢もあります。

どの選択肢が最適かは、立地・建物の状態・相続関係・ご家族の意向によって大きく変わります。「管理・活用・売却」のどれを選ぶべきか迷う段階で、一度状況を整理することをおすすめします。 ROCKEDGEでは、空き家の現状確認から売却・活用の方向性まで、無料でご相談を承っています。通知が届いてからでも選択肢はありますので、お早めにご連絡ください。

まず何から手をつけるべきか

優先順位を整理すると、次の通りです。

  • 市区町村から通知が届いている場合:それが「助言・指導」か「勧告」か、書面で段階を確認する(勧告かどうかで税額が変わるため)
  • 通知はまだ来ていないが心当たりがある場合:建物の状態を点検し、当面の管理だけでも始める
  • 持ち続ける意思が固まらない場合:売却・活用の試算を早めに取り、判断材料をそろえる

空き家の事情は、相続の状況・登記の状態・共有者の有無などによって一件ごとに大きく異なります。個別の事情により取るべき対応や税の扱いは変わるため、最終的な判断の前に、税務・法務を含めて専門家へご相談ください。


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よくある質問

「助言・指導」の通知が届いた時点で、もう固定資産税は上がっていますか?
いいえ。住宅用地特例が外れるのは「勧告」を受けた段階からです。助言・指導は最初の段階で、この時点では税額は変わりません。ただし放置して勧告に進むと特例が外れ、最大で約6倍になり得るため、助言・指導の段階で対応を始めることが重要です(2026年5月現在)。
管理不全空家でも固定資産税は上がるのですか?
はい。2023年12月13日施行の改正空家法で新設された「管理不全空家等」も、勧告を受けると住宅用地特例の対象から除外されます。従来の特定空家だけでなく、その手前の段階でも税負担が増える可能性があります。
建物を解体して更地にすれば税金は下がりますか?
一概には言えません。建物がなくなると住宅用地特例の前提(住宅の存在)が失われ、更地として課税されるため、解体後にかえって土地の固定資産税が上がる場合があります。解体費用と将来の税負担、売却見込みを合わせて比較検討する必要があります。
命令に従わないと、どのようなペナルティがありますか?
空家法では、正当な理由なく命令に従わない場合、50万円以下の過料の対象になり得ます。さらに改善されない場合は行政代執行により行政が解体等を行い、その費用は所有者に請求されます。
遠方に住んでいて空き家まで通えません。どう管理すればよいですか?
通風・換気や雑草除去など最低限の管理を行うことが、管理不全空家への指定回避につながります。通えない場合は空き家管理の代行サービスの利用や、早期の売却・活用の検討が現実的です。立地や建物状態によって最適解は異なるため、一度状況を整理することをおすすめします。

出典・参考

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