この記事でわかること
- 自分の家が「アンダーローン」か「オーバーローン」かを判定する方法
- 売却代金でローンを一括返済し、抵当権を抹消するまでの流れ
- オーバーローンでも売れる「住み替えローン」「任意売却」という選択肢
- 売買契約のローン特約・つなぎ融資で見落としやすい注意点
- 金融機関へ事前相談すべきベストなタイミング
住宅ローンが残った家でも、売却代金で残債を完済できる「アンダーローン」なら通常どおり売れます。完済できない「オーバーローン」でも、住み替えローンや任意売却で前に進む道があります。鍵は、査定額と残債の比較を最初に行うことです。
先月、ご相談者様から実際に受けたケースでは、「離婚に伴い家を売りたいが、残債が査定額を上回っていそうで動けない」という40代のご夫婦がいらっしゃいました。私が最初にお願いしたのは「いくらで売れるか」ではなく、金融機関に残高証明(ローン残高)を出してもらうことでした。残債が確定して初めて、売却の選択肢が見えてくるからです。業界24年の経験から言えば、ここを曖昧にしたまま不動産会社に駆け込むと、判断を誤ります。
自分の家はアンダーローン?オーバーローン?判定方法は?
Q: アンダーローンとオーバーローンはどう見分けますか? A: 「売却見込み額」と「ローン残債」を比べるだけです。
| 区分 | 関係 | 意味 |
|---|---|---|
| アンダーローン | 売却見込み額 > 残債 | 売却代金で完済でき、手元に資金が残る |
| オーバーローン | 売却見込み額 < 残債 | 売却代金だけでは完済できない |
判定に必要なのは次の2つの数字です。
- ローン残債:金融機関の「残高証明書」または毎年送られる「返済予定表」で確認します。
- 売却見込み額:不動産会社の査定で把握します。複数社に依頼し、根拠を比較してください。
ここで見落としがちなのが、売却には仲介手数料・抵当権抹消費用・印紙税・引っ越し費用などの諸経費がかかる点です。たとえ査定額が残債を少し上回っていても、諸経費を差し引くと足りなくなる「実質オーバーローン」になることがあります。査定額そのものではなく、「手取り額」で残債を超えるかを見るのが正しい判定です。
売却代金で一括返済し抵当権を抹消する流れは?
住宅ローンを借りると、金融機関は土地・建物に抵当権(返済が滞ったとき担保として優先弁済を受ける権利)を設定しています。買主は抵当権の付いた家を買いたがりません。そのため売却では、決済日に売買代金でローンを一括返済し、同時に抵当権を抹消するのが原則です。
典型的な流れは次のとおりです。
- 不動産会社と媒介契約を結び、売り出す
- 買主と売買契約を締結(手付金を受領)
- 金融機関へ完済の意思を伝え、抵当権抹消に必要な書類を準備してもらう
- 決済日に、買主からの残代金を受け取る
- 受け取った代金でローンを一括返済する
- 司法書士が抵当権抹消登記と所有権移転登記を同時申請する
ポイントは、これらを同じ日に一連の手続きとして行うことです。先に登記だけ動かすことはできず、お金の動きと登記が連動します。抵当権抹消登記の登録免許税は不動産1個につき1,000円(土地・建物それぞれ)で、通常は司法書士へ依頼します。
オーバーローンでも諦めない選択肢は?
完済に足りないオーバーローンでも、主に2つの道があります。
住み替えローン(買い替えローン)
新居の購入資金に、完済しきれなかった旧居の残債を上乗せして借りるローンです。住み替えを前提に使えます。ただし借入額が物件価格を超えるため審査は厳しく、返済負担も大きくなります。利用できるかは金融機関の判断によります(2026年5月現在)。
任意売却
返済が困難になり、競売を避けたいときの手段が任意売却です。金融機関の同意を得て、残債が残る状態でも市場で売却します。競売より高く売れる傾向があり、引っ越し時期を調整しやすい利点があります。
なお、オーバーローンでマイホームを売って損失(譲渡損失)が出た場合、一定の要件を満たせば**「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」**により、損失を給与所得などと相殺できる制度があります(国税庁タックスアンサーNo.3390)。適用には居住期間や住宅ローン残高などの要件があるため、利用可否は個別確認が必要です。
ローン特約・つなぎ融資で注意すべき点は?
買主側のローン特約
買主が住宅ローンで購入する場合、売買契約にはローン特約(買主の融資が承認されなかったとき契約を白紙解除できる条項)が付くのが一般的です。承認が下りなければ決済できず、あなたのローン完済も後ろ倒しになります。特約の期限を契約書で必ず確認してください。
売主側のつなぎ融資
住み替えで「売却の決済前に新居の購入決済が来る」と、一時的に資金が不足します。これを埋めるのがつなぎ融資ですが、金利が割高で、想定どおり旧居が売れないと返済計画が崩れます。売り先行か買い先行かを決め、資金スケジュールを金融機関と詰めておくことが欠かせません。
金融機関へはいつ相談すべき?
最も多い失敗は、不動産会社に話を進めてから金融機関に連絡する順番です。正しくは、査定と並行して早めに金融機関へ相談することをおすすめします。
- 残高証明の取得には数日〜1週間かかることがある
- 一括返済に手数料がかかる場合がある(条件は金融機関による)
- 返済が苦しくオーバーローンなら、滞納前に相談するほど任意売却など選択肢が広がる
特に返済が滞ってからでは、競売手続きが進み打てる手が狭まります。「迷っている段階」での早期相談が、結果的に最も損をしない動き方です。
残債と査定額の比較、抵当権抹消の段取り、住み替えの資金繰りは、どれも一度に判断が必要で複雑です。ROCKEDGEでは、こうした「ローンが残った家の売却」について、残債整理から売却計画まで一緒に整理する無料相談をお受けしています。動き出す前の情報整理だけでもお気軽にご利用ください。
ここで紹介した制度や費用は一般的な枠組みであり、個別の事情(残債額・契約内容・税の適用要件など)により取り扱いは異なります。実際の判断にあたっては、金融機関・司法書士・税理士など専門家へご相談ください(2026年5月現在の情報です)。
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