この記事でわかること
- 不動産売却にかかる主な費用(仲介手数料・印紙税・登記費用・譲渡所得税)の全体像
- 仲介手数料の上限金額の計算方法(売買価格400万円超の場合)
- 売買契約書の印紙税額の早見表(契約金額帯別)
- 譲渡所得税の計算の基本と、所有期間による税率の差
- 売却価格別「手取り額」のシミュレーション例
「家を売ると、いくら費用がかかって、手元にいくら残るの?」——不動産売却の費用は、**おおむね売却価格の4〜6%程度(譲渡所得税を除く諸費用)**が目安です。本記事では仲介手数料・税金・登記費用を早見表と概算例でやさしく整理します。
先月、こんなご相談がありました
先月、ご相談者様(60代・ご実家を相続された方)から「3,000万円で売れそうと言われたけれど、税金や手数料で半分くらい持っていかれるのでは…」とご不安の声をいただきました。実際に費用を一つずつ計算してお見せすると、諸費用は約120万円ほど。「思ったより残るんですね」と表情が和らいだのを覚えています。**漠然とした不安の正体は、たいてい「費用の内訳を知らないこと」**です。一つずつ分解すれば、こわくありません。
不動産売却にかかる費用の全体像は?
売却費用は、大きく次の4つに分けると整理しやすくなります。
| 費用の種類 | 内容 | 支払うタイミング |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 不動産会社への成功報酬 | 契約時・引渡時に分割が一般的 |
| 印紙税 | 売買契約書に貼る印紙代 | 契約時 |
| 登記費用(登録免許税+司法書士報酬) | 抵当権抹消などの手続き費用 | 引渡時 |
| 譲渡所得税・住民税 | 売却益(もうけ)に対する税金 | 売却した翌年の確定申告時 |
このうち最も大きいのは仲介手数料、そして利益が出た場合のみ発生するのが譲渡所得税です。逆に言えば、売却益が出なければ譲渡所得税はかかりません。
仲介手数料はいくら?上限の計算方法は?
仲介手数料は不動産会社に支払う成功報酬で、宅地建物取引業法に基づき上限が定められています(下限の定めはありません)。売買価格が400万円を超える場合、上限は次の速算式で計算できます。
上限額=売買価格 ×3% +6万円 +消費税
| 売買価格 | 仲介手数料の上限(消費税10%込み) |
|---|---|
| 1,000万円 | 39万6,000円 |
| 2,000万円 | 72万6,000円 |
| 3,000万円 | 105万6,000円 |
| 5,000万円 | 171万6,000円 |
※2024年7月施行の改正で、低廉な空き家等(800万円以下の物件)は売主から最大33万円(税込)まで受領可能とする特例もあります(2026年6月現在)。
Q:仲介手数料は値引きできますか? A:上限を超えなければ金額は自由なので、交渉の余地はあります。ただし手数料の安さだけで選ぶと、広告や販売活動の質に差が出ることもあります。「いくら払うか」より「何をしてくれるか」で判断するのがおすすめです。
印紙税はいくら?契約金額帯別の早見表
不動産の売買契約書には印紙税がかかります。現在は軽減措置が適用されており(2027年3月31日作成分まで/2026年6月現在)、税額は次のとおりです。
| 契約金額 | 本則税額 | 軽減後の税額 |
|---|---|---|
| 100万円超〜500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
| 500万円超〜1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
| 1,000万円超〜5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
| 5,000万円超〜1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
| 1億円超〜5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
たとえば3,000万円の物件なら、印紙税は1万円で済みます。金額としては小さいので、過度に心配する必要はありません。
登記費用(抵当権抹消)はいくら?
住宅ローンが残っている家を売る場合、設定されている抵当権を抹消する登記が必要です。
- 登録免許税:不動産1個につき1,000円(土地+建物なら計2,000円)
- 司法書士報酬:おおむね1万〜2万円程度(依頼先・地域による)
合計しても1万〜2万円台が一般的で、費用としては軽いものです。ローン完済後すぐの抹消をお忘れなく。
譲渡所得税はいくら?計算の基本と税率
利益(譲渡所得)が出た場合にだけかかるのが譲渡所得税・住民税です。計算の出発点は次の式です。
譲渡所得=売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除
- 取得費:その不動産を買ったときの価格+購入時の諸費用(建物は減価償却後)。不明な場合は売却価格の5%を概算取得費にできます
- 譲渡費用:仲介手数料・印紙税など売るためにかかった費用
そして税率は、売った年の1月1日時点での所有期間で大きく変わります。
| 区分 | 所有期間 | 税率(所得税+住民税、復興特別所得税込み) |
|---|---|---|
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 20.315% |
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 39.63% |
所有期間が5年を境に税率がほぼ倍違うため、売却時期の判断は手取りを大きく左右します。
また、自分が住んでいた家(マイホーム)を売る場合は、一定要件のもとで譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。多くのケースでこの控除内に収まり、譲渡所得税が0円になることも珍しくありません。
手取り額のシミュレーション例
「結局いくら残るのか」を、売却価格別にざっくり示します(マイホームの3,000万円控除適用・諸費用の概算例。実際は個別条件で変動します)。
例:3,000万円で売却(ローン残債なし・マイホーム特例適用)
| 項目 | 金額(概算) |
|---|---|
| 売却価格 | 3,000万円 |
| 仲介手数料(税込) | −105.6万円 |
| 印紙税 | −1万円 |
| 抵当権抹消・その他 | −2万円 |
| 譲渡所得税 | 0円(3,000万円控除内) |
| 手取り概算 | 約2,891万円 |
このケースでは、諸費用は売却価格の約3.6%。「半分持っていかれる」ことはまずないとおわかりいただけると思います。一方、投資用や相続後すぐの売却で利益が大きく出る場合は、譲渡所得税が手取りを左右します。
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なお、本記事は一般的な制度の解説です。取得費の算定や特例の適用可否は個別の事情により異なるため、具体的な税額は税理士や所轄税務署など専門家へご相談ください。
まとめ
- 売却の諸費用(譲渡所得税を除く)は、おおむね売却価格の4〜6%が目安
- 最も大きいのは仲介手数料(400万円超は「価格×3%+6万円+消費税」が上限)
- 印紙税・登記費用は数万円程度で軽い
- 譲渡所得税は利益が出たときのみ。所有期間5年超で税率が約半分、マイホームなら3,000万円控除あり
費用の内訳がわかれば、売却の判断はぐっとしやすくなります。
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