この記事でわかること
- 令和8年分の路線価図等が2026年7月1日に国税庁ホームページで公開されたこと
- 路線価図に書かれた「数字」と「アルファベット」がそれぞれ何を意味するのか
- 路線価を使って、自宅や実家の土地の相続税評価額を自分でざっくり出す5つの手順
- 路線価が載っていない土地で使う「倍率方式」との違い
- 評価額を下げられる可能性がある制度と、申告期限(10か月)までにやるべきこと
令和8年分の路線価は2026年7月1日に公開され、路線価(千円単位・1㎡あたり)×土地の面積で、相続税評価額のおおよその目安を自分で出すことができます。ただしこれは税金を計算するための価格で、売れる金額そのものではありません。
ROCKEDGE住まい相談室には、「親が亡くなり、実家の土地に相続税がかかるのかどうかがわからない。兄弟から『いくらの価値があるのか』と聞かれたが、答えられずに気まずくなってしまった」というご相談が少なくありません。こうした話し合いは、金額のイメージが全員で共有されていない段階ほど、こじれやすくなります。逆に言えば、まず「だいたいこのくらい」という共通の数字を持つことが、揉めないための最初の一歩になります。
この記事では、はじめて相続を経験する方に向けて、路線価の見方と概算の出し方を、できるだけやさしい言葉で最初から順に説明します。
令和8年分の路線価はいつ公開された?そもそも何の数字?
国税庁は、令和8年分の路線価図等を2026年(令和8年)7月1日に同庁ホームページで公開しました(2026年7月現在)。路線価は毎年1回、夏に公開されます。
路線価は「相続税・贈与税で土地を評価するための価格」
路線価とは、道路(路線)に面する標準的な宅地の1平方メートルあたりの価格のことです。相続税や贈与税を計算するとき、「この土地はいくらの財産とみなすか」を決めるために使います。
大事なポイントが2つあります。
- 評価時点はその年の1月1日です。令和8年分の路線価は、2026年1月1日時点の価格として定められています。つまり、2026年中に亡くなった方(被相続人)から相続した土地は、令和8年分の路線価を使います。
- 売買価格そのものではありません。路線価は税金の計算のための価格であり、実際に市場で売れる金額とは一致しません。売却を考えるなら、路線価とは別に不動産会社の査定が必要です。
Q: 去年(令和7年分)の路線価を見てもいいですか? A: いいえ。使うのは「亡くなった年」の路線価です。 2026年に相続が発生したなら令和8年分、2025年に発生したなら令和7年分を使います。国税庁の財産評価基準書では過去の年分も閲覧できるので、年分の選択を間違えないようにしてください。
路線価図の見方は?数字とアルファベットは何を表す?
国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で、都道府県 → 市区町村 → 地図の順にたどると、道路の上に「215D」のような表示が並んだ地図が出てきます。この見方さえ覚えれば、あとは掛け算です。
数字=1㎡あたりの価格(千円単位)
数字は1平方メートルあたりの価格を千円単位で表しています。
| 路線価図の表示 | 読み方 |
|---|---|
| 215 | 1㎡あたり 21万5,000円 |
| 500 | 1㎡あたり 50万円 |
| 1,200 | 1㎡あたり 120万円 |
「215」を215円や215万円と読み違えるのが、いちばん多い勘違いです。千円単位とだけ覚えてください。
アルファベット=借地権割合
数字の右隣のアルファベット(A〜G)は、借地権割合を示します。借地権とは、他人の土地を借りて自分の建物を建てている場合の、その「借りている権利」のことです。この権利にも財産としての価値があるため、割合が定められています。
| 記号 | A | B | C | D | E | F | G |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 借地権割合 | 90% | 80% | 70% | 60% | 50% | 40% | 30% |
自分の土地に自分の家が建っている(借地ではない)一般的なケースでは、このアルファベットを使う場面はまずありません。土地を借りている・貸している場合に関係してくる記号、とだけ理解しておけば十分です。
なお、路線価図には地区区分を示す記号(ビル街地区、普通住宅地区など)も表示されています。地区によって後述の補正率が変わるため、税理士はここも見ています。
相続税の目安を自分で出す手順は?(5ステップ)
ここからが本題です。順番にたどってください。
手順1|土地の面積(地積)を調べる 固定資産税の納税通知書、登記事項証明書(登記簿)、権利証などに「地積」として㎡で書かれています。手元の書類でまず確認しましょう。
手順2|国税庁の財産評価基準書で該当の路線価を探す 公開されている年分(2026年中の相続なら令和8年分)を選び、都道府県 → 市区町村 → 地図とたどって、その土地が面している道路の数字を読み取ります。
手順3|路線価 × 地積 で概算する 例:路線価500(=50万円/㎡)、地積150㎡の場合 → 50万円 × 150㎡ = 7,500万円(概算の評価額)
手順4|補正があることを頭に入れる 実際の評価では、土地の形や条件に応じて価格を調整する「補正」が入ります。国税庁の定めにより、たとえば次のような調整があります。
- 奥行価格補正:間口に対して奥行が長すぎる・短すぎる土地は評価が下がる
- 側方路線影響加算・二方路線影響加算:角地や二方向が道路に接する土地は評価が上がる
- 不整形地の補正:三角形など使いにくい形の土地は評価が下がる
つまり、手順3の数字はあくまで出発点です。正確な評価額は補正の適用で上下します。
手順5|相続財産の合計と基礎控除を比べる 土地だけでなく、建物・預貯金・有価証券なども合計します。そのうえで、次の基礎控除額と比べます。
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
たとえば相続人が配偶者と子2人の計3人なら、3,000万円+600万円×3人=4,800万円。財産の合計がこの金額以下であれば、原則として相続税の申告は不要です。上回るなら、申告と納税の検討が必要になります。
路線価が載っていない土地は?倍率方式と評価額を下げる特例
地図に数字がなかったら「倍率方式」
郊外や農村部など、路線価が定められていない地域があります。その場合は倍率方式を使います。
倍率方式の評価額 = 固定資産税評価額 × 定められた倍率
固定資産税評価額は、毎年春に届く固定資産税の納税通知書(課税明細書)に書かれています。倍率は、路線価図と同じ財産評価基準書の中の「評価倍率表」で確認できます。路線価方式より計算はシンプルです。
| 路線価方式 | 倍率方式 | |
|---|---|---|
| 使う地域 | 路線価が定められた地域(主に市街地) | 路線価が定められていない地域 |
| 基になる価格 | 路線価(1㎡あたり・千円単位) | 固定資産税評価額 |
| 計算 | 路線価 × 補正率 × 地積 | 固定資産税評価額 × 倍率 |
「小規模宅地等の特例」で評価額が大きく下がることがある
概算で基礎控除を超えてしまっても、そこであきらめないでください。一定の要件を満たす場合、小規模宅地等の特例によって土地の評価額を大幅に下げられる可能性があります。
| 宅地の区分 | 限度面積 | 減額割合 |
|---|---|---|
| 特定居住用宅地等(住んでいた自宅の敷地) | 330㎡まで | 80%減 |
| 特定事業用宅地等(事業に使っていた敷地) | 400㎡まで | 80%減 |
| 貸付事業用宅地等(人に貸していた土地) | 200㎡まで | 50%減 |
自宅の敷地で80%減となれば、7,500万円の評価が1,500万円になる計算です。インパクトは非常に大きいものの、誰が相続するか・住み続けるか・申告するかなど、細かい適用要件があります。「うちは使えるはず」と思い込まず、必ず個別に確認してください。この特例は、適用して税額がゼロになる場合でも申告が必要となる点にも注意が必要です(2026年7月現在)。
申告期限は10か月。もめないために早めにやること
相続税の申告は、相続の開始があったことを知った日(通常は亡くなった日)の翌日から10か月以内に行うことになっています。たとえば1月6日に亡くなった場合、その年の11月6日が期限です。
10か月は長いようで、あっという間です。戸籍を集め、財産を洗い出し、遺産分割を話し合い、必要なら不動産を売って納税資金をつくる——ここまでを収めなければなりません。土地の評価は、この工程のいちばん最初に来る作業です。だからこそ、路線価が公開されるこの時期に着手する意味があります。
不動産は「分けにくい」から、もめやすい
相続でもめる原因の多くは、感情ではなく構造にあります。預貯金は1円単位で公平に分けられますが、不動産はそうはいきません。「実家をもらった長男」と「現金だけの次男」で、金額は同じでも納得感がまるで違う。誰かが住み続ければ、他の相続人は自分の取り分を受け取れない——これが火種になります。
言い出しにくい気持ちも、みんな同じです。「お金の話をすると欲深いと思われそう」と黙ってしまい、不満だけが溜まっていく。だからこそ、当事者だけで抱え込まず、早い段階で中立の第三者を入れることが、もめないための最大のコツです。
現金にして公平に分ける「換価分割」という選択肢
解決策のひとつが、換価分割です。不動産を売却して現金にし、その現金を相続人で分ける方法をいいます。金額が明確になるため公平感が生まれやすく、納税資金も確保できます。もちろん、住み続けたい方がいるなら別の方法を選ぶべきで、売却が唯一の正解ではありません。
ROCKEDGE住まい相談室では、路線価による評価の見方から、実際に売った場合の価格査定、税理士・司法書士との連携までをワンストップでご案内しています。**「売るかどうか」を決める前の段階からで構いません。**まずは全体像を一緒に整理し、ご家族全員が同じ数字を見られる状態をつくるところからお手伝いします。
まとめ:今日できること
- 固定資産税の納税通知書を探して、土地の面積を確認する
- 国税庁の財産評価基準書で、その年分の路線価を調べる
- 路線価 × 面積 で概算を出し、基礎控除額と比べてみる
- 数字を家族で共有し、必要なら専門家に相談する
なお、土地の評価は形状・接道・利用状況などによって結論が変わり、特例の適用可否も一人ひとり異なります。この記事の内容はあくまで概算の目安を知るためのものです。実際の申告や納税額の判断は個別の事情により異なるため、税理士など専門家へご相談ください。
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