この記事でわかること
- 相続による不動産の取得には不動産取得税がかからない(地方税法73条の7第1号で非課税)
- 同じ「もらう」でも、死因贈与や相続人以外への特定遺贈は課税対象になること
- 相続では非課税でも、相続登記の登録免許税(固定資産税評価額×0.4%)は別途かかること
- 生前贈与で取得すると不動産取得税がかかるため、相続と贈与でどちらが有利かを比べる視点
- 「非課税」と思い込んで手続きを放置すると、別の負担や過料リスクが生じること
結論:相続でもらった不動産に不動産取得税はかからない
相続した不動産には、原則として不動産取得税はかかりません。地方税法73条の7第1号で「相続による不動産の取得」は非課税と定められているためです。ただし死因贈与や一部の遺贈は課税対象になります(2026年5月現在)。
先月、ご相談者様から実際にこんなお話をいただきました。「父名義の浦和の戸建てを相続したが、不動産を取得したのだから不動産取得税の納付書がいつ届くのか不安で眠れない」というものです。固定資産税評価額が2,000万円ほどの物件だったため、税率3%で計算して「60万円も請求されるのでは」と思い詰めておられました。結論からお伝えすると、相続による取得は非課税ですから、その納付書は届きません。業界24年の中でも、この勘違いで必要以上に不安を抱える方は本当に多いと感じています。
不動産取得税はなぜ「相続」だと非課税なのか?
不動産取得税は、売買・贈与・新築・増築など、不動産を「取得」したときに一度だけ課される都道府県税です。原則の税率は固定資産税評価額の3%(土地・住宅、2027年3月31日までの特例税率。本則は4%)です。
それにもかかわらず相続が非課税とされるのは、相続が「本人の意思による積極的な取得」ではなく、亡くなった方(被相続人)の財産が法律上当然に引き継がれる形式的な移転だと整理されているためです。そのため地方税法73条の7第1号は、相続(包括遺贈および被相続人から相続人への遺贈を含む)による取得を非課税としています。
Q:相続したら役所に申告は必要?
A:不動産取得税については、非課税のため取得税としての申告・納付は不要です。ただし後述の相続登記は別途必要です。自治体によっては相続を証する書類の提出を求められる場合があるため、都道府県税事務所からの通知が届いたら内容を確認してください。
注意:同じ「もらう」でも課税されるケースがある
ここが最大の落とし穴です。「亡くなった人から不動産をもらう」という形でも、その法律上の性質によって課税・非課税が分かれます。
| 取得の形 | 内容 | 不動産取得税 |
|---|---|---|
| 相続 | 法定相続人が遺産分割等で取得 | 非課税 |
| 包括遺贈 | 「財産の2分の1を遺贈する」等、割合での遺贈 | 非課税 |
| 特定遺贈(相続人へ) | 「自宅を長男へ」等、相続人への個別指定 | 非課税 |
| 特定遺贈(相続人以外へ) | 「自宅を孫(代襲でない)へ」等 | 課税 |
| 死因贈与 | 「私が死んだらこの土地をあげる」契約 | 課税 |
死因贈与が課税される理由
死因贈与は「死んだら贈与する」という生前の**契約(贈与)**です。受け取る人の合意のもとで成立する点で相続とは性質が異なり、不動産取得税の世界では「贈与」として扱われます。そのため非課税の対象から外れ、原則3%(住宅以外の家屋は4%)が課されます。「遺言で書くか、死因贈与契約にするか」で税負担が変わり得る、という視点はぜひ持っておいてください。
非課税でも油断禁物:相続登記の登録免許税はかかる
不動産取得税が非課税でも、名義を被相続人から相続人へ変える相続登記には登録免許税がかかります。税率は固定資産税評価額の**0.4%**です(国税庁 タックスアンサー No.7191)。
例えば評価額2,000万円の不動産なら、
2,000万円 × 0.4% = 8万円
が登録免許税の目安です。不動産取得税の3%(60万円)と比べると軽いものの、ゼロではありません。
さらに2024年4月1日から相続登記の申請が義務化されています。相続で不動産を取得したことを知った日から原則3年以内に登記申請をしないと、正当な理由がない場合に10万円以下の過料の対象となり得ます。「非課税だから」と放置せず、登記まで終えて初めて手続き完了と考えてください。
相続と生前贈与、どちらが税負担を抑えられる?
「子に不動産を渡すなら、生きているうちに贈与した方がよいのか」というご相談も増えています。判断材料の一つが不動産取得税です。
- 相続で渡す:不動産取得税は非課税/登録免許税は評価額×0.4%
- 生前贈与で渡す:不動産取得税が原則3%課税/登録免許税は評価額×2.0%(相続より高い)
このように、不動産取得税と登録免許税だけを見れば、相続の方が負担は小さくなる傾向があります。一方で、贈与には相続時精算課税制度や暦年課税の基礎控除といった別の論点があり、相続税の総額や納税資金、遺産分割のしやすさまで含めて総合判断する必要があります。
ROCKEDGEでは浦和を中心に、相続物件の評価額の確認から登記手続きの段取り、保有か売却かの試算まで、こうした「もらい方による税負担の違い」も含めて無料でご相談を承っています。納付書への不安だけで判断を急ぐ前に、一度全体像を整理されることをおすすめします。
なお、本記事は一般的な制度の解説です。遺贈の対象者や相続人の構成、物件の評価額など個別の事情により結論は異なりますので、詳細は税理士・司法書士などの専門家へご相談ください。
まとめ
- 相続による不動産取得は非課税(地方税法73条の7第1号)
- 包括遺贈・相続人への特定遺贈も非課税だが、相続人以外への特定遺贈と死因贈与は課税
- 非課税でも相続登記の登録免許税(評価額×0.4%)と、2024年4月からの登記義務(3年以内)に注意
- 相続と生前贈与は不動産取得税・登録免許税の差を含めて総合的に比較を
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