この記事でわかること
- 大切な方が亡くなった「その日」から相続税の申告まで、何をいつまでにやればいいかの全体像
- 7日・3か月・4か月・10か月・3年という、絶対に外せない5つの期限とその意味
- 「相続放棄」や「準確定申告」など、聞き慣れない手続きをやさしい言葉で解説
- 家族でもめないために、最初の一歩で気をつけたいこと
- 相続した家や土地を「公平に分ける」ための現実的な方法
ご家族が亡くなった直後は、悲しみの中で何から手をつければいいか分からなくなるものです。結論から言うと、相続は「死亡届(7日以内)→相続するかしないかの判断(3か月以内)→税金の申告(4か月・10か月以内)→不動産の名義変更(3年以内)」という順番で進めれば大丈夫です。一つずつ、一緒に確認していきましょう。
先月、実際にあったご相談
先月、ご相談者様から「父が亡くなって2週間。役所からもらった書類の山を前に、何も手につかない」というお電話をいただきました。お話をうかがうと、すでに死亡届は葬儀社が出してくれていて、本当に急ぐ手続きはまだ先だと分かり、声のトーンが少しやわらいだのを覚えています。
不動産コンサルタントとして24年、こうした場面に何度も立ち会ってきました。多くの方が「全部いますぐやらなきゃ」と焦ってしまいますが、実際には期限ごとにやることが決まっています。順番さえ分かれば、慌てる必要はありません。
いつまでに何をする?相続の全体スケジュール
まずは時系列の一覧表で全体像をつかみましょう。これを冷蔵庫に貼っておくくらいの気持ちで大丈夫です。
| 期限 | やること | 補足 |
|---|---|---|
| 7日以内 | 死亡届の提出 | 多くは葬儀社が代行。火葬許可証もここで取得 |
| 〜2週間ごろ | 年金・健康保険・公共料金などの届出 | 法律上の厳密な期限はないが早めに |
| 3か月以内 | 相続放棄・限定承認をするか判断 | 借金が多い場合の重要な分かれ道 |
| 4か月以内 | 準確定申告(亡くなった方の所得税) | 故人に確定申告が必要だった場合 |
| 10か月以内 | 相続税の申告・納付 | 財産が基礎控除を超える場合 |
| 3年以内 | 相続登記(不動産の名義変更) | 2024年4月から義務化 |
※上記は一般的な流れです。個別の事情により異なります。
死亡後すぐ(7日以内)にやることは?
最初の期限は死亡届です。戸籍法第86条により、死亡の事実を知った日から7日以内に市区町村役場へ提出することが定められています。
ただ、ご安心ください。この死亡届は、多くの場合葬儀社が代行して提出してくれます。提出時に「火葬許可証」も受け取れるので、葬儀の準備とあわせて進むのが一般的です。
このほか、落ち着いてからで構いませんが、次のような届出が出てきます。
- 年金受給の停止手続き
- 健康保険証の返却
- 電気・ガス・水道などの名義変更や解約
- 銀行口座(凍結されるため、引き落としに注意)
Q: 銀行口座はすぐ凍結されますか? A: 金融機関が亡くなったことを知った時点で凍結されます。公共料金の引き落としが止まることがあるため、支払い方法の見直しが必要になる場合があります。
相続するか、しないか(3か月以内)の判断は?
ここが最初の大きな分かれ道です。相続には3つの選択肢があります。
- 単純承認…プラスの財産も借金も、すべて引き継ぐ(特に手続き不要)
- 相続放棄…プラスもマイナスも、いっさい引き継がない
- 限定承認…プラスの財産の範囲内だけで借金を引き継ぐ
民法第915条により、相続放棄と限定承認は「自分のために相続の開始があったことを知った日」から3か月以内に、家庭裁判所へ申し出る必要があります。この3か月を「熟慮期間(じゅくりょきかん)」と呼びます。
「知った日から」というのがポイントです。亡くなった日ではなく、自分が相続人だと知った日が起点になります。
借金が多そうな場合は、この3か月の判断がとても重要です。何もしないと自動的に「単純承認」となり、借金も引き継ぐことになります。判断に迷うときは、期限内に弁護士や司法書士へ相談しましょう。
税金の申告(4か月・10か月)はどうする?
次は税金です。期限が2段階あるので分けて説明します。
準確定申告(4か月以内)
亡くなった方に、確定申告が必要な所得(事業収入や不動産収入、一定の年金など)があった場合、相続人が代わりに申告します。これを**準確定申告(じゅんかくていしんこく)**といい、相続開始を知った日の翌日から4か月以内が期限です。会社員で年末調整だけだった方などは、不要なケースもあります。
相続税の申告・納付(10か月以内)
相続した財産が一定額(基礎控除)を超える場合、相続開始を知った日の翌日から10か月以内に相続税の申告と納付を行います。基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します(2026年5月現在)。
この10か月の間に、実は次の作業をすべて終える必要があります。
- 遺言書があるか確認する
- 戸籍を集めて相続人を確定する
- 財産(不動産・預貯金・株式・借金)をすべて調べる
- 誰が何を相続するか話し合う(遺産分割協議)
- 名義変更や納税を行う
「10か月もある」ではなく「10か月しかない」のが実感です。特に不動産が絡むと、評価や分け方で時間がかかります。
不動産の名義変更(相続登記)は3年以内に
2024年4月1日から、相続登記が義務化されました。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に登記の申請をしないと、正当な理由なく怠った場合に過料(10万円以下)の対象になり得ます。
これまで「面倒だから」と名義をそのままにする家庭が多く、所有者が分からない土地が全国で増えたことが背景にあります。
もめないために——不動産は「分けにくい」と知っておく
相続でもめる原因の多くは、実は不動産です。預貯金は1円単位で公平に分けられますが、家や土地はそうはいきません。「長男が家に住み続けたいが、他の兄弟は現金が欲しい」といった食い違いが、感情のもつれに発展しがちです。
こうしたとき有力なのが、**換価分割(かんかぶんかつ)**という方法です。不動産を売却して現金に換え、その現金を相続人で公平に分けます。「実家を手放すのは寂しい」というお気持ちはよく分かりますが、誰も住まない家を持ち続けると固定資産税や管理の負担が続きます。現金にすれば、1円単位できれいに分けられ、しこりが残りにくいのです。
私たちROCKEDGEでは、不動産の査定から売却、提携する税理士・司法書士との連携まで、中立の立場でワンストップでお手伝いしています。「どちらかの味方」ではなく、ご家族全員が納得できる着地点を一緒に探す——そんな伴走役としてご活用いただければと思います。
もめない相続の最大のコツは「早めに中立の専門家を入れる」こと
24年の経験から断言できるのは、もめる家族ほど、当事者だけで長く抱え込んでいるということです。「お金の話を切り出しにくい」「言い出したら欲深いと思われそう」——この遠慮が、かえって溝を深めます。
そんなときこそ、利害のない第三者が間に入ると、不思議と話が前に進みます。専門家は感情ではなく事実と制度で整理してくれるため、「不公平だ」という感覚を数字で解消できるからです。
なお、ここでご紹介した期限や金額は一般的なものです。個別の事情により取り扱いは異なるため、詳しいことは税理士・司法書士などの専門家へご相談ください。
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