この記事でわかること
- 相続税の納付書をどこで入手できるか(税務署の窓口・金融機関の備え置き)と、申告書に自動で同封されるとは限らない理由
- 納付書の「税目」「年度」「申告区分」「住所・氏名」など、相続税で特に間違いやすい記入欄の書き方
- 2026年9月下旬以降に交付される納付書で「整理番号」欄が「お問い合わせ番号又は法人番号」欄に変わった点
- 納付書が不要になるキャッシュレス納付(ダイレクト納付・クレジットカード納付など)との比較
- 相続人が複数いる場合の納付のしかたと、納付期限を過ぎたときに生じる延滞税のしくみ
相続税の納付書は、所轄の税務署の窓口か、その税務署管内の金融機関の窓口で入手します。申告書に自動で同封されるとは限らず、申告書を出しても税務署から納付書が送られてくるわけではありません(2026年10月現在)。
ROCKEDGE住まい相談室にも、「相続税の申告書は税理士に作ってもらったが、納付書が手元に見当たらない。期限まであと数日しかない」というご相談は少なくありません。相続の手続は遺産分割や不動産の名義変更に注意が向きがちで、最後の「納める」工程だけがぽっかり抜け落ちてしまう——そうした状況で慌てて駆け込まれる方が多くいらっしゃいます。
相続税の納付書はどこでもらう?入手方法は?
税務署の窓口と、金融機関の備え置き分の2つが基本
国税庁は、金融機関または所轄税務署の窓口で現金に納付書を添えて納付する手続(G-2-8)について、納付書の入手方法を次のように案内しています(2026年10月現在)。
- 金融機関の窓口で納付する場合は、事前に納付書を用意しておく
- 納付書(一般用)が金融機関の窓口に備え付けられていない場合は、所轄の税務署へ連絡する
つまり、最寄りの銀行・信用金庫などの窓口に置いてある白紙の納付書を使うか、所轄税務署で受け取るかのいずれかです。なお税務署の受付時間は9時から15時までで、2026年10月1日からは全ての税務署で総合窓口の受付時間が原則9時〜15時とされています。土日祝と年末年始(12月29日〜1月3日)は執務していません。
Q: 申告書を出せば納付書が送られてくる?
A: 送られてきません。 国税庁は「国税の納付手続」のページで、**「申告書の提出後に税務署から納付書の送付や納税通知等のお知らせはありません」**と明記しています。相続税の申告書を提出しても、納付書が後から郵送される前提で待っていると、そのまま期限を過ぎてしまいます。
また国税庁は、キャッシュレス納付の拡大にともない、納付書を使わない手段で納付した方などへの納付書の事前送付を取りやめています。あわせて、既存の納付書をコピーしたものや、会計ソフトで作成して市販の用紙に印刷したものは使わず、税務署で用意した所定の納付書を使うよう求めています。機械処理での読み取りが正しく行えず、納付の確認に時間がかかるおそれがあるためです。
相続税の納付書の書き方は?間違いやすい欄をチェック
国税庁は「納付書(領収済通知書)の記載要領」というPDFを公開しており、そこには**《相続人の方の場合》の記載例**が掲載されています。ここを押さえておくと記入ミスが防げます。
| 欄 | 相続税での書き方(2026年10月現在) |
|---|---|
| 税目・税目番号 | 税目は「相続税」。記載例の税目番号は 050。詳細は納付書裏面の記載要領を参照 |
| 税務署名・税務署番号 | 印字されている税務署名が所轄税務署であるか必ず確認する |
| 年度 | 会計年度を書く。2026年4月1日〜2027年3月31日に納付するなら「508」(令和8年度) |
| 納期等の区分 | 納付書裏面の記載要領を参照して記入。記載例では元号+年月日を記入する形 |
| 申告区分 | 該当項目に○を付ける。記載例では「4 確定申告」に○ |
| お問い合わせ番号又は法人番号 | 個人の相続人は記載不要(空欄) |
| 住所・氏名・フリガナ | 被相続人と相続人の両方を記載。フリガナは相続人のもの |
| 合計額 | 金額の頭に必ず「¥」を付ける |
住所・氏名は「被相続人ではなく相続人」で締める
もっとも間違えやすいのが氏名欄です。国税庁の記載例では、住所欄に「被相続人住所 ○○区○○1-2-3」「相続人住所 ○○区○○1-2-5」と2段で書き、氏名欄にも「被相続人 国税太郎」「相続人 国税花子」と2段で記入しています。そのうえで、フリガナ欄には相続人の氏名のフリガナだけを記載するよう指示されています。電話番号も相続人の連絡先を書きます。
納めるのは相続人本人ですから、「誰の納税か」を示す主体は相続人です。被相続人の名前だけを書いてしまうと、誰の納付か特定できず確認に時間がかかります。
「整理番号」欄は2026年9月下旬から変わっている
国税庁によると、令和8年(2026年)9月下旬以降に税務署の窓口で交付する納付書(領収済通知書)は様式が変更され、納税者の識別に使っていた8桁の「整理番号」欄が、13桁の「お問い合わせ番号又は法人番号」欄に変わりました。あわせて「納期等の区分」欄などに元号の記載欄が追加され、住所欄に郵便番号欄が加わっています。
この欄について、**お問い合わせ番号の印字がない場合、個人の納税者は記載不要(空欄)**とされています(法人は13桁の法人番号を記載)。なお、従来の整理番号欄がある納付書も当分の間は使用できるとされています。手元の納付書が旧様式か新様式かで迷ったら、記入前に所轄税務署に確認すると確実です。
納付手段によっては納付書が要らない
相続税は「納付書+現金」以外の方法でも納められます。キャッシュレス納付を選べば、そもそも納付書を入手する必要がありません(2026年10月現在)。
| 納付手段 | 納付書 | 金額の上限 | 手数料・領収証書 |
|---|---|---|---|
| 金融機関・税務署の窓口(現金) | 必要 | 制限なし | 手数料不要/領収証書あり |
| ダイレクト納付(e-Tax・口座引落し) | 不要 | — | — |
| インターネットバンキング等 | 不要 | — | — |
| クレジットカード納付 | 不要 | 1度の手続につき1,000万円未満かつカードの決済可能額以下 | 決済手数料が必要(1万円までごとに加算)/領収証書なし |
| スマホアプリ納付 | 不要 | 納付税額30万円以下 | 手数料なし/領収証書なし |
| コンビニ納付(QRコード) | 自宅等でQRを作成し端末で出力 | 納付税額30万円以下 | 手数料不要/現金のみ |
相続税は数百万円〜数千万円単位になることも多く、30万円の上限があるスマホアプリ納付やコンビニ納付は使えないケースがほとんどです。一方で、クレジットカード納付は1度につき1,000万円未満まで使えますが、納付税額に応じた決済手数料(1円〜10,000円で99円、以降10,000円を超えるごとに加算)が納税者負担となり、領収証書も発行されません。
なお、金融機関・コンビニ・税務署の窓口ではクレジットカードによる納付はできません。カードを使うのはインターネット上の専用サイト経由のみです。
相続人が複数いるとき、納付書は1枚にまとめられる?
Q: 兄弟でまとめて1枚の納付書で払っていい?
A: 原則として、相続人それぞれが自分の相続税額を個別に納付します。 相続税は相続や遺贈で財産を取得した各人に課される税金で、納税義務者は相続人一人ひとりです。連名で1枚の納付書にまとめると、誰がいくら納めたのかが記録上特定できず、後から納税証明書を取るときなどに支障が出ます。納付書は相続人の人数分用意し、各人の氏名で納付するのが基本です。
他の相続人が払わないと自分に請求が来ることがある
相続税には連帯納付義務があります。相続税法第34条第1項により、一定の例外を除き、各相続人は相続などにより受けた利益の価額を限度として、互いに連帯して納付しなければならないとされています。
国税庁は手続の流れを次のように説明しています。
- 相続税について督促状が発せられて1か月を経過しても完納されない場合、連帯納付義務者に「完納されていない旨」のお知らせを送付する
- 連帯納付義務者から納付を求める場合は、納付期限や納付場所等を記載した納付通知書を送付する
- 納付通知書の送付日から2か月を経過しても完納されない場合は、督促状を送付する
自分の分をきちんと納めていても、他の相続人の未納が自分に回ってくることがある——これが相続税の納付を「全員分がそろって初めて終わる」手続にしている理由です。
納付期限はいつ?遅れると何が起きる?
期限は申告期限と同じ日
相続税の納付期限は申告期限と同じで、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。国税庁も「相続税の納税は、上記の申告期限までに行うことになっています」としています。期限が土日祝日にあたる場合は、これらの日の翌日が期限とみなされます。
延滞税は「法定納期限の翌日」から自動的に発生する
納付が期限に遅れると、法定納期限の翌日から納付の日までの日数に応じて延滞税が自動的に課されます。割合は次のとおりです。
| 期間 | 2026年1月1日〜2026年12月31日の割合 |
|---|---|
| 納期限の翌日から2か月を経過する日まで | 年2.8% |
| 納期限の翌日から2か月を経過した日以後 | 年9.1% |
2か月を境に負担が大きく変わる点に注意してください。本則は年7.3%/年14.6%ですが、「延滞税特例基準割合」に基づく特例でこの水準になっています(延滞税は本税のみを対象とし、加算税には課されません)。
現金で一度に払えないときは延納・物納という選択肢がある
金銭で一度に納めることが難しい場合には、年賦で分割納付する延納と、相続財産そのもので納める物納があります。いずれも申請手続が必要で、自動的に認められるものではありません。
延納の主な要件(国税庁 No.4211)
- 相続税額が10万円を超えること
- 金銭で一度に納付することを困難とする事由があり、その納付困難な金額の範囲内であること
- 延納税額および利子税の額に相当する担保を提供すること(延納税額100万円以下かつ延納期間3年以下の場合は担保不要)
- 延納申請期限までに、延納申請書に担保提供関係書類を添付して税務署長に提出すること
物納の主な要件(国税庁 No.4214)
- 延納によっても金銭で納付することを困難とする事由があり、その納付困難な金額を限度とすること
- 物納に充てられるのは国内にある一定の相続財産で、第1順位=不動産・船舶・国債証券・上場株式等、第2順位=非上場株式等、第3順位=動産という順位がある
- 物納申請期限までに、物納申請書に物納手続関係書類を添付して税務署長に提出すること
担保権が設定されている、境界が明確でない、共有になっている——こうした不動産は物納に不適格とされることがあります。実務上は、物納を目指すより先に、相続した不動産を売却して納税資金をつくるほうが現実的なケースも少なくありません。ただし10か月という期限の中で売却まで完了させるには、相続開始から早い段階で動き出す必要があります。ROCKEDGE住まい相談室では、相続した不動産の現況確認や売却の見通し、名義変更との進め方の整理について、無料でご相談を承っています。納税資金の調達に不動産がからむ場合は、申告期限から逆算したスケジュールづくりが何より重要です。
納付前の最終チェックリスト
- 所轄税務署で用意された所定の納付書を使っているか(コピー・市販用紙への印刷は不可)
- 税目が「相続税」、年度が納付する日の属する会計年度になっているか
- 住所・氏名欄に被相続人と相続人の両方を記載し、フリガナは相続人のものになっているか
- 合計額の頭に「¥」を付けたか、記入漏れはないか
- 相続人の人数分の納付書を用意したか(連名で1枚にまとめていないか)
- 納付期限(相続開始を知った日の翌日から10か月)まで日数の余裕があるか
書き損じた場合や汚損・折れがある場合は、修正せず新しい納付書に書き直すよう国税庁は案内しています。
相続税の納付は、財産の構成・遺産分割の内容・納税資金の有無によって最適な手段が大きく変わります。ここでご紹介した内容は2026年10月時点の国税庁の公表資料に基づく一般的な説明であり、個別の事情により取扱いが異なるため、具体的な税額・申請の可否・書類の書き方については、税理士または所轄の税務署へ必ずご確認ください。
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