管理委託契約書に法定記載事項は入っていますか

国土交通省が2026年6月5日に公表した全国一斉立入検査の結果では、168社のうち118社に是正指導が行われました。最も多い指摘は管理受託契約書の記載不備です。オーナーが自分の契約書で確認できる項目を、賃貸住宅管理業法の条文ごとに整理しました。

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※写真はイメージです

管理会社への不満は、たいてい「報告が来ない」「連絡が遅い」という体感から始まります。ただ、その体感を管理会社にぶつけても水掛け論になりがちです。

事実として確認できる入口があります。手元の管理委託契約書です。

168社を検査し、118社に是正指導

国土交通省は2026年6月5日、令和7年度に実施した賃貸住宅管理業者および特定転貸事業者(サブリース業者)への全国一斉立入検査の結果を公表しました。

全国168社に立入検査を行い、法令違反が認められた118社に是正指導が行われています。前年度は187社中127社でした。なお、118社すべてにおいて是正等がなされたことを確認した、とも公表されています。

同資料によると、賃貸住宅管理業者の登録数は令和7年度末時点で10,197社です。検査対象はその一部であり、この数字がそのまま業界全体の比率を表すものではありません。ただ、検査に入れば多くで指摘が出ている、という傾向は読み取れます。

何を指摘されているのか

公表された指導件数は次のとおりです(括弧内は前年度)。

賃貸住宅管理業法の条項内容件数
第14条管理受託契約の締結時の書面の交付義務違反62(60)
第13条締結前の書面の交付(重要事項説明)義務違反43(35)
第18条帳簿の備付け等の義務違反32(41)
第32条特定転貸事業者の書類の閲覧義務違反23(26)
第17条従業者証明書の携帯等の義務違反22(42)
第20条委託者への定期報告義務違反17(20)
第19条標識の掲示義務違反15(22)
第31条特定賃貸借契約の締結時の書面の交付義務違反14(19)
第16条財産の分別管理義務違反7(7)
第28条特定転貸事業者等の誇大広告等の禁止義務違反4(6)
第30条特定賃貸借契約の締結前の書面の交付義務違反4(13)

上位はいずれも書面の記載事項が抜けているという不備です。悪質な行為というより、事務の精度の問題が中心だと読めます。

オーナーが自分の契約書で確認できる4つのこと

指摘が多かった項目は、そのままオーナー側のチェックリストになります。契約書を開いて順に見てください。

1. 管理会社の登録年月日と登録番号が書いてあるか

最多の62件だった第14条違反の内容として、公表資料は法定記載事項の記載不備を挙げ、その例に「管理受託契約を締結する賃貸住宅管理業者の登録年月日及び登録番号」を明記しています。

ここは書いてあるかどうかを見るだけで済みます。なお、登録が義務づけられているのは、自己所有物件の管理を除く管理戸数が200戸以上の事業者です。200戸未満の事業者は義務の対象外なので、登録番号がないこと自体が直ちに問題になるわけではありません。

ただし、国土交通省はFAQ集で、200戸を超えない小規模な事業者についても「登録を受けることにより、社会的信用力が高まると考えられることから、登録を受けることを推奨しております」としています。あわせて、管理戸数が一時的にでも200戸を超えた場合、その時点で登録を受けていなければ賃貸住宅管理業を営むことはできないとされています。登録がないこと自体は違反ではありませんが、これから受託を増やす会社にとっては、先に取っておくべきものという位置づけです。

管理戸数は、入居者との間で締結されることが想定される賃貸借契約の数で数えます。同じFAQ集では、10部屋のシェアハウスで4部屋しか入居していない場合でも管理戸数は10戸と数える、と説明されています。空室は戸数から外れません。

登録番号が書いてある場合は、あわせて登録年月日も見てください。賃貸住宅管理業の登録の有効期間は5年で、引き続き登録を受けるには有効期間満了日の90日前から30日前までに更新申請が必要です。契約書に記された登録年月日が5年以上前であれば、更新後の登録年月日に差し替えられているかを確認する材料になります。

2. 委託者への報告に関する事項が書いてあるか

同じく第14条の記載不備の例として「法第20条の規定による委託者への報告に関する事項」が挙げられています。何を、どの頻度で報告するのかが契約書に定められているかを確認してください。

そして第20条そのものの違反も17件あります。違反例として公表資料に挙げられているのが、報告事項(苦情・修繕等)の無いオーナーに対する報告省略です。「何もなかったから送らなかった」という運用は、それ自体が指摘の対象になっています。

3. 入居者への周知に関する事項が書いてあるか

「賃貸住宅の入居者に対する管理業務の実施方法の周知に関する事項」も記載不備の例に挙がっています。入居者から見て、誰にどう連絡すればよいかが決まっているか、という項目です。ここが曖昧なままだと、設備の不具合の一報がオーナーに届くまで時間がかかります。

4. 家賃はどの口座で預かられているか

第16条の財産の分別管理義務違反は7件と少数ですが、内容は重いものです。公表資料には「管理業務において受領する家賃等の金銭を管理するための口座と自己の固有財産を管理するための口座と明確に区分していない」と書かれています。

預かった家賃が会社のお金と混ざっていないか、という論点です。件数は少ないので、過度に心配する必要はありません。ただ、送金が遅れがちだと感じているのであれば、確認しておく価値はあります。

不備が見つかったら、まず聞く

記載の抜けが見つかったからといって、すぐに解約という話にはなりません。指摘の中心は書面の記載事項であり、直せるものです。まずは管理会社に確認してください。

判断が要るのはその先です。確認しても回答が返ってこない、報告や送金といった実務にも支障が出ている、という状態が続くのであれば、契約書の不備は結果であって原因ではありません。

管理会社を切り替える場合の手順は「管理会社を変更する手順」に、解約予告期間の読み方から順に書いています。空室が埋まらないことが不満の中心であれば、先に「空室が3か月埋まらない。管理会社に確認すべき5つのこと」を確認してください。原因が募集の露出にあるのか、原状回復の遅れにあるのかで打ち手が変わります。

なお、当社はサブリース(家賃保証)はお受けしていません。受託の範囲は賃貸管理を任せたいオーナーの相談窓口に整理しています。

よくある質問

管理会社に立入検査が入っているというのは本当ですか?
本当です。国土交通省は2026年6月5日、令和7年度の賃貸住宅管理業者および特定転貸事業者(サブリース業者)への全国一斉立入検査の結果を公表しました。全国168社に立入検査を実施し、うち118社に是正指導を行っています。前年度は187社中127社でした。なお、118社すべてで是正等がなされたことが確認されたと公表されています。
是正指導で最も多い指摘は何ですか?
管理受託契約の締結時の書面の交付義務違反(賃貸住宅管理業法第14条関係)が62件で最多です。次いで締結前の書面の交付、いわゆる重要事項説明の義務違反が43件、帳簿の備付け等の義務違反が32件、書類の閲覧義務違反が23件、従業者証明書の携帯等の義務違反が22件と続きます。内容は「記載事項が抜けている」という不備が中心です。
管理会社から報告が来ないのですが、これは問題ですか?
賃貸住宅管理業法第20条は、管理業者に対し委託者への定期報告を義務づけています。立入検査では、この定期報告義務違反が17件指摘されており、公表資料には違反例として「報告事項(苦情・修繕等)の無いオーナーに対する報告省略」が挙げられています。つまり、報告することが何もないから送らなかった、という運用も指摘の対象になっています。
管理会社に登録番号がない場合、その会社は違法ですか?
そうとは限りません。国土交通省は、自己所有物件の管理を除く管理戸数が200戸以上の賃貸住宅管理業者に登録を義務づけています。200戸未満の事業者は義務の対象外です。したがって登録番号がないこと自体が直ちに問題になるわけではありません。ただし国土交通省はFAQ集で、200戸を超えない小規模な事業者にも社会的信用力の観点から登録を推奨しており、管理戸数が一時的にでも200戸を超えた時点で、登録がなければ賃貸住宅管理業を営むことはできないとしています。確認したいのは、200戸以上を扱っているのに登録の記載がない、あるいは契約書に登録年月日・登録番号の記載欄はあるのに空欄になっている、という状態です。
契約書を確認して不備があった場合、すぐ解約すべきですか?
記載不備がそのまま管理品質の低さを意味するわけではないため、まずは管理会社に確認してください。指摘が多いのは書面の記載事項の抜けであり、修正できるものです。判断が必要になるのは、確認しても回答が返ってこない場合や、家賃の入金・報告といった実務面でも支障が出ている場合です。切り替えを検討する場合の手順は「管理会社を変更する手順」にまとめています。

出典・参考

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